サステナビリティイベントとは?開催のためのポイントや注意点を解説

サステナビリティイベントとは?開催のためのポイントや注意点を解説

イベントは非日常感の提供によって大きな効果を生むことができる施策です。

そのため、サステナブルな視点を取り入れたイベントの開催は、多くのゴミや廃材が生じたり、演出照明や映像を多用したりすることから電力が嵩んでしまうという懸念から、企画立案に苦労されている企業様が多いのではないでしょうか。
本記事では、サステナビリティイベントとは何か、開催するためのポイントや注意点にフォーカスをあてて解説しています。

これからサステナビリティイベントの開催を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

サステナビリティとSDGs

最近何かと耳にすることが多いSDGsやサステナビリティという言葉について、理解しているつもりでも企業とどのような関係があるのかまで熟知している人は少ないでしょう。

SDGsとは持続可能な世界を実現するための国際目標のことで、環境・社会・経済が持続的に発展する社会の実現を目指す考え方がサステナビリティです。

企業がサステナビリティを取り入れる理由として、社会・環境・経済のバランスを考え持続していくことこそが利益につながるから、という考えがあります。
社会や環境をかえりみず目先だけを考えた経営では、将来的なビジョンを描けません。
地球環境問題だけでなく、ジェンダーフリーな人事・採用活動など、多様性の実現こそがサステナビリティな経営へとつながるのです。

サステナビリティイベントとは

サステナビリティイベントとは

サステナビリティイベントは、テーマだけでなく会場設営から運用まで、環境に配慮しておこなわれます。
企業が従業員向けや顧客・代理店向けに行うイベントにおいては、商業目的や啓発セミナーだけでなく、体験型や参加型などさまざまなスタイルで実施されています。

ここではJTBコミュニケーションデザイン(JCD)がプロデュース・支援して開催されたサステナビリティイベントの一例をご紹介します。

サステナブルをテーマにした商業イベント

サステナブルな観点で企画や実行する商業イベントでは、再利用できる部材を活用した装飾物の導入や、脱炭素や省エネ設備の取り入れといった観点が採用されることが一般的です。

サステナビリティを推進する企業とのコラボ企画や商品の紹介など、展示会やセミナーと並行して開催することで、比較的簡単にサステナビリティイベントの開催が可能になります。

JCDでは、2023年7月に交通の便が良いだけでなく、皇居が近く自然豊かな環境ということもあり、大手町三井ホールを会場にJTB Engagement Campをプロデュースいたしました。

イベントのプログラム内容以外にもアウトドア用品で話題のスノーピーク社とのコラボレーションによる空間装飾でサステナビリティを意識・体感できる形で工夫し、ケータリング(飲食)においても、不揃いで廃棄されてしまう野菜や保存料などの添加物が入っていない食材を使用したメニュー構成を行い、大盛況で終了することができました。

大型展示会においてもサステナブル社会の推進を啓発に貢献

様々な最新技術や商品サービスを紹介し、顧客を獲得する場として開催される展示会においては、ブースの装飾や大型のステージ、パンフレットや紙袋など多くの資源消費があり、廃材のリユースやリサイクル、ペーパーレス化やデジタル化の促進など、サステナビリティを意識したイベント開催には取り入れるべき施策が山積しています。

2022年9月に開催された展示会「第15回 国際物流総合展 2022」でも、同様の課題を抱えていました。

大型機械や機器が出展される展示会こそ、大量の電力を消費します。そこで「CO₂ゼロMICE®」を導入し、会場内でのCO₂排出の低減にも取り組みました。

イベントの主な種類とサステナビリティとの関連

イベントの主な種類とサステナビリティとの関連

SDGsは、2015年に国連サミットで採択され、すべての国の貧困や飢餓、教育・環境・平和と公正といった社会課題を対象とした17の目標と課題ごとに設定された169の基準から構成されています。2030年までの目標達成を目指しています。
そのため、サステナビリティイベントは環境だけでなく貧困やジェンダー・人種など、さまざまな問題を考え、目的に合わせたイベント内容や開催方法を考えましょう。

ここでは、イベントの主な種類別に、サステナビリティイベントに向けた具体的な取り組み内容をご紹介します。

セミナー・講習・ワークショップ

セミナー・講習は、理解を深めるために開催されます。

サステナビリティをテーマに開催する場合は、SDGsとは何か、サステナビリティがどうして必要なのかなど、基本的な問題提起から取り組みについて理解を深められるようなプログラム設計をしていきます。

JTBグループでは、カードゲームを用いてSDGs理解促進のためのプログラムを提供しています。SDGsについてあまり興味関心がない人でも親しみやすさと面白さで知らず知らずのうちに熱中し、楽しみながら本質を理解することができるプログラムとなっています。

多様化する社会に対して企業がどのようにアプローチしていくのか、循環経済や人的資本、多様性やインパクト投資など、さまざまな視点から問題へのアプローチの仕方を学べます。

このようなプログラムを導入し、企業としてサステナビリティ経営を継続していくために、従業員一人一人へのサステナビリティへの理解浸透を促し、事業推進するためにこのような講習・ワークショップを定期的におこなっている企業もあります。

展示会・展覧会

展示会とは、企業や団体が商品やサービス、活動内容を紹介し、出展者と来場者が商談を通じて商品の販売に繋げ、正確な情報発信を行う場を提供しているイベントです。

大規模な展示会であればあるほど、ブース装飾やステージの部材、パンフレットや紙袋など多くの資源が消費されます。

また、出展する商品やサービスによっては、多くの電力を必要とするケースもあります。

廃材のリユースやリサイクルを検討したり、環境負荷を減らすためのペーパーレス化やデジタル配信などを取り入れたりする企業も増えてきています。

さらに、会場内で使用される電気を再生可能エネルギーに置き換えることで、排出されるCO2を実質ゼロにできるサービス「CO₂ゼロMICE®」を導入する取り組みも進んでいます。

体験・参加型

近年では、地域に向けた社会貢献の一環で、体験・参加型イベントを開催するケースも増えてきています。

体験・参加型のイベントでは、ペットボトルや牛乳パックなどリサイクル可能な素材を使ったおもちゃ作りや、廃油でキャンドル作りなど、企業の提供事業や商品・サービスに関連したエコロジーを考える体験を提供することが一般的です。

このような体験は、社内向けのファミリーイベントでも導入されるようになってきています。

おもちゃ作りから環境問題に触れ、資源の大切さを学べるため、特にお子様連れに人気です。
他にも、「フードロス削減」のためのアイデアを募集し、問題解決のためにディスカッションがおこなわれるなどプログラム内容は多様化しています。
JCDでも、2023年1月の「KIDS学べて遊べるパラスポーツ体験会」では、パラアスリートを招いて講演会や視覚障害体験を行い、地域住民の方を対象に、地産地消の食材をメニューに取り入れたこども食堂を開催しました。

このように、企業が主体となり体験や参加を通じて、多様性の尊重や歩み寄りを学び、認め合える社会に作りに取り組むケースが増えています。

サステナビリティイベントを開催するメリット

サステナビリティイベントを開催するメリット

企業がSDGsに取り組むことは、企業イメージの向上だけでなく社会貢献としても当たり前になりつつあります。
そのため、企業が開催する様々なイベントにサステナビリティの視点を取り入れることは、従業員、顧客、地域社会などあらゆるステークホルダーに対して企業の方針や考え方を発信できる、大きなチャンスです。
ここでは、サステナビリティイベントを開催する4つのメリットを解説します。

ブランドイメージの向上

サステナビリティイベントの開催は、SDGs達成に向け企業が努力している姿勢が伝わります。
近年では、特に若い世代を中心に、SDGsを意識した社会への取り組みを実現している企業への注目が高まり、SDGsに取り組んでいること自体が入社動機になり、従業員のモチベーションにつながっています。

そのため、人材確保のためにはサステナブルな考え方をアピールするのは必要不可欠です。
企業として設定しているサステナビリティビジョンやマテリアリティを、自社で主催するイベント自体で表現すれば、社会から共感を得られるでしょう。

コストの削減につながる

ペーパーレス化やデジタル化の推進、リユース・リサイクルできる装飾物を導入することによって、廃棄量の削減につながり、廃棄にかかるコストや輸送にかかるコストを大幅に削減するメリットがあります。

イベント単体で見るとサステナブルな取り組みは費用がかさむ印象があるかもしれませんが、企業活動全体での総合的なコストメリットは言うまでもありません。

新たなビジネスチャンス

サステナビリティイベントの開催は、企業としてのブランド力向上だけがメリットではありません。
取引のない関連会社や企業、縁がないと思っていた相手とイベントを通じてつながるチャンスが生まれます。
関心度の高い企業や推進を検討している会社担当者と出会うことで、市場開拓の可能性もあるでしょう。
最新技術や取り組みを享受すれば、企業同士の連携による新規事業開拓のチャンスです。
イベントは情報交換だけでなく、企業同士のコミュニケーションを活発にします。

エンゲージメントの向上

社会環境への取り組みは会社の利益にも直結することから、サステナビリティ経営を目指す企業も増えてきました。
どのように取り組んでいくのか、従業員の意識を高めるためにはどのような施策が適切か、自社の取組みへの理解浸透を図るためにはどうすべきか、自社の実態に沿ったより効果の高い方法を検討しましょう。

当社調べによると、サステナビリティへの取組み浸透は、従業員エンゲージメント向上に期待できます。

サステナビリティイベント開催のポイントとアイデア

サステナビリティイベント開催のポイントとアイデア

サステナビリティイベントを開催する際は、SDGsを意識した取り組みが必要です。イベント開催規模によっては、複数の企業と連携して推進することが必要となります。

ここでは、サステナビリティイベントを開催するのに欠かせないポイントを4つの視点で解説します。

会場選び

サステナビリティイベントの重要なポイントは、会場そのものがSDGsを考慮した取り組み推進を行っているということが重要になります。

フードロスに向けた取り組み、再生可能エネルギーを使用している会場、スタッフへの教育など、会場自体が取組み推進していると自社イベントにおけるビジョンや取り組み内容に対しての理解も早く、協力を得られやすくなります。

また、環境負荷軽減の観点では、イベント会場の交通の便も重要です。

排気ガスを排出するバスやタクシー、自家用車での移動ではなく、公共交通機関で簡単にアクセスできる会場を選定しましょう。

また、消費電力に関しては、会場で利用した電力を実質ゼロにできる取り組みである「CO₂ゼロMICE®」を導入することもサステナビリティイベントに寄与することができますのでご検討ください。

会場装飾

環境への配慮の観点では、過度な装飾は控えたいところです。一方で企業のブランディング目的でのイベントや新商品ローンチのイベント、周年事業などの場合は、企業のブランディングのために装飾に力をいれることもあるでしょう。
その際は、廃材を利用した装飾を取り入れたり、リサイクル・リユース可能な部材(ファブリックなど)を用いたりサステナブルな装飾をおこなえば資源を無駄することなく、企業ブランドを訴求することができます。
また、生花を使わずにドライフラワーやフェイクグリーンのレンタルをするなど、アイデア次第で環境負荷を減らすための取り組みが可能です。

資料のペーパーレス化の導入

イベントで必要な資料は電子化し、参加者や企業にはQRコードから読み込んでもらうことによってペーパーレス化の実現が可能です。
インターネット上で資料などの情報を共有できるように特設サイトを開設し、そこからアンケートやディスカッションに参加できる方法もサステナブルで良いでしょう。
紙の資料が必要な場合には、エシカル素材の紙やインクの利用を検討するなどの工夫も必要です。

フードロス対策

会場選定のポイントとも重複しますが、飲食を伴うイベントを開催する際は、サステナブルな料理を提供している、フードロスへの取り組みに配慮している会場を選択することも大切です。
最初からロスがないように食事を用意し、それについても参加者に賛同してもらえるように告知しておくなどの工夫もしましょう。
フェアトレード商品やランチセットでの提供など、どのようなフードロス対策がふさわしいのかイベントのターゲットや目的、内容や規模で検討するようにしましょう。

サステナビリティイベントを開催する際の注意点

サステナビリティイベントを開催する際の注意点

SDGsに対する企業姿勢をアピールしイメージアップ効果もある反面、注意しなければならないこともあるのがサステナビリティイベントです。
成功させるためにはどのようなことに注意すればいいか、3つの注意点を説明します。

予算

サステナビリティイベントを企画する前に、どれくらいの予算でおこなうのかを決めます。
初めてのイベント開催の場合、ある程度の企画を考えてから予算を組んだ方が良いのではないかと思われるかもしれません。
しかし、企画を詰め込み過ぎてしまうと予算内に収まりきらず、思っていた内容のイベントが開催できない可能性があります。
そのため、最初に予算を組むことでイベント開催の目的をはっきりさせ、適切な企画ができるようになります。
イベント内容によっては、地域ボランティアを募集するなどの取り組みを考えてもいいでしょう。

参加者に合わせた内容

単にサステナビリティな取り組みを部分的に入れれば良いというものでもありません。

開催するイベントの対象は誰なのか、その方々にどのような体験をしていただくことが無理なく企業の姿勢をアピールすることができるのか、軸をしっかり決めてから企画を進めないと有意義なイベントは開催できません。
たとえば、BtoBイベントで顧客を対象としているイベントなのか、社内向けの従業員やその家族も参加するようなイベントなのかによって、企画に盛り込むエッセンスを変えていく必要があります。
有意義なイベントにするために、ターゲット層を決め、参加者のニーズにマッチしたイベントを企画することが大切です。参加者が求めていることや参加者に何を知ってほしいのか、その効果から逆算して企画を考えるようにしましょう。

ゴミ箱の撤廃

飲食のないフォーラムや展示会であっても、人が集まるところには必ずゴミが出ます。
持ち込んだペットボトルなどのゴミは「持ち帰ること」を参加基準にし、事前に周知するなど工夫しましょう。
食事を提供する場合には、持ち帰りができる形での提供やリサイクル可能なカラトリーや食べられるお皿をメニューに取り入れゴミを減らします。

まとめ

まとめ

サステナビリティイベントは特別なイベントというわけではありません。

企業が掲げるビジョン、マテリアリティと平仄を合わせることで無理なく取り組むことが可能です。

またそれらのイベント開催することは結果として社会にプラスな影響を与えることができます。

注目されるイベントになれば、多くの共感を得られますし、広告効果も得ることができます。

サステナブルなイベントにするために、何から取り組めばよいかわからない。

豊富な知識が必要とされるイベントを成功させるには、実績のあるイベント会社に依頼することも検討しましょう。

JTBコミュニケーションデザインは、フォーラムや発表会など、さまざまなサステナビリティイベントを多数手がけてきました。

何か気になることがあれば、どんな些細なことでも一度お問合せください。

資料ダウンロード

関連事例