リアルでのパーティー開催を可能にした JCDのプロデュース力とは



社員のモチベーション向上情報共有、知識・能力アップ、また組織に対するエンゲージメント向上において表彰式は、もはや組織活性化や企業成長のために欠かすことのできない施策となっています。新型コロナウイルス感染拡大により、表彰式をはじめとしたイベントの姿も大きく変わりました。しかしながら、そろそろ表彰式をリアル開催し、食事も提供してコミュニケーションを図りたいという企業様も多いのではないでしょうか。

JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)では、そんな想いをどのように実現できるのか。

 2022年330日にJTBグループにて開催した表彰式「JTB BS AWARD2021」の事例を交え、ベテランと若手イベントプロデューサーにwithコロナのいま、表彰式を成功させる極意について、語ってもらいました。 

1.ハイブリッド開催に挑戦! JTBグループ表彰式「JTB BS AWARD
2.感染症対策を意識したコンサルティング
3.経験値×経験値で、新しい企画力が生まれる
4.逆転の発想。プレゼンテーターが受賞者の席へ
5.リアルとオンライン。2つの視線を意識する
6.コロナ禍でも飲食パーティーは実現できる
7.ハイブリッド表彰式を成功させるポイント

Speakers====================================

國原 尚史 (コーポレートソリューション部 エクゼクティブプロデューサー)

吉田 翔  (コーポレートソリューション部 イベントプロデューサー)

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(文中敬称略)
※社名・肩書きは対談開催(20225月)当時のものです。

1.ハイブリッド開催に挑戦! JTBグループ表彰式「JTB BS AWARD


JTBグループでは、主に法人向けに営業を担当している優秀な社員を表彰するイベントを毎年開催。受賞者に対して前年度の功績を称え、さらなるモチベーション向上を図るとともに、非受賞者にも「来年は表彰されたい!」と感じてもらうきっかけ作りを行っています。長年続いてきたこの表彰式イベントも、新型コロナウイルスの影響により、昨年までは、受賞者を含め個別に視聴するというオンライン(アーカイブ配信)形式で実施されていました。

司会:今年、「JTB BS AWARD」がハイブリッド開催に至った経緯を教えてください。

主催者は、コロナの影響によりあらゆるイベントがオンラインに移行したものの、他のオンライン会議との差別化や特別感の演出、参加者のオンラインイベント疲れもあり、オンライン表彰式の限界を感じていました。そのため、コロナ禍が少しでも収束することを見込んで、今年こそはリアル開催したいという強い意向がありました。さらに、受賞者だけでなく従業員や関係者が一堂に会すリアル開催を強く要望され、予定日の約3ヶ月前から準備を進めてきました。イベントをプロデュースする立場としては、移動もなく、効率的で、感染リスクも抑えられるオンラインイベントの費用対効果や効率性という面でのメリットを確かに感じています。しかしながら、参加者の表情や会話の間合い、臨場感といったものをリアルと同じように体現・体感するにはどうしても限界があります。特に表彰式は、ただ「おめでとう!」といったメッセージを伝えるだけの場ではありません。受賞者や参加者のモチベーションアップを企図しているわけなので、その効果がオンラインでは見えづらい部分もあるでしょう。喜びや嬉しさといった感情は、五感に働きかけ、肌で感じとるものでもあります。だからリアル回帰へと多くのお客様が向かうのは自然なことだと思います。ちなみにJTBグループのビジネスソリューション事業本部でお客様をお招きして開催したイベント「JTBビジネスイベント革命2021」でも、そういった主催者・参加者の声を受けて感染症対策に万全を期してハイブリッド形式にて開催しました。

司会:オンライン開催のデメリットをリアルでも会することでカバーして開催手法の相乗効果を狙ったということですね。

▼関連コラム:ハイブリッド型イベント「JTBビジネスイベント革命2021」プロデューサーインタビュー記事 

2.感染症対策を意識したコンサルティング


 
司会:コロナ禍でのリアル開催、気にかけるべきポイントがたくさんあったのではないですか?

今回、企画する上で意識していたのは、まず主催者の「リアル開催したい!」という想いをいかに叶えられるか。感染症対策をベースに、会場の規模による参加者人数のシミュレーションや運営導線での滞留ポイントの検証、パーティーでの食事の提供形式(立食ではなく正餐とする)に至るまで、主催者の意図を汲み取って私たちから提案しました。具体的には、当初はリアル開催だけを検討していた主催者に対し、シミュレーションにより表彰式でのリアル参加人数を減らし、その分オンライン配信を導入して受賞者以外でもご参加いただけるハイブリッド形式で実施するというイベントの開催形態自体の変更などを提案しました。

今回の事例だけでなく、私たちがイベントをプロデュースしていると、お客様からは「全体の参加人数をできるだけ多くしたい」「パーティーも食事を提供しながらリアルで実施したい」など、様々な要望をいただきます。私たちJCDのイベントプロデューサーは、日頃からお客様の希望をしっかりとヒアリングしそれを最大限に叶えられるよう検討し、同時に現実的な整合性を取りながら実施までもっていけるかどうかを常に考えて企画提案をしてきました。イベントの本質的な目的、お客様の業界・企業特性や重要視するポイントなどを読み解き、最適なイベントの設計・提案を行っています。

司会:感染対策をベースとしたシミュレーションを元に、参加者人数を減らすべきという提言をしつつ、できる限り非受賞者も巻き込んだ表彰式にしたいという主催者の意向をくみ取って、リアル開催のみを想定されていた主催者へオンラインと融合したハイブリッド開催を提案したということですね。

具体的な企画の内容について教えてください。
 

3.経験値×経験値で、新しい企画力が生まれる


今回のイベントは表彰式なので、通常であれば受賞者がステージに登壇して、脚光を浴びることも重要な要素になってきます。受賞者のモチベーションアップやステータス感も得られますので。もちろん視聴している人に「次はこのステージに自分が立ちたい!」と思ってもらうことも大切。この点に注力して、会場でのライティングやカメラワークを含めた演出方法にいたるまで、いかに受賞者(リアル参加者)とオンライン視聴者双方が納得のいく、それ以上に驚嘆させられるようなステージの構成案を練りました。

運営面では、リアル会場の受付からクローク、待機スペース、進行の流れ、会場内の導線・人の対流には、感染防止対策の観点において特に気を配りました。受付ではQRコードを採用して、接触の機会を減らしました。フォトセッションも実施しましたが、一度に人数が集中しないよう入場時の時間配分などにも工夫しております。表彰式イベント全体を考えた時に、密になるポイントを事前に割り出して、運営マニュアルに落とし込む形でスタッフ全員と連携し、当日はしっかりとオペレーションをしています。そこにオンラインを加えた時、配信の設計から当日の運用方法や押さえておかなければならないポイントをしっかりと勘案して、ハイブリッド型表彰式として成立するように設計しました。

イベントQRスキャナー

JTB BS AWARD 2021 非接触での来場受付(QRリーダー)

私たちはBtoBイベントの企画・運営に特化してきた経験値が豊富にあります。だからこそ現実を踏まえながらも、イベントのプロとしての多くの引き出しの中からアイデアを練り、そこからさらに工夫をこらした提案をし続けています。さらに、参加者目線での表彰式の企画・運営計画を強く意識して制作にあたっています。この両軸を持ってホスピタリティの高いイベントを実現できることが、私たちの何よりの強みでもあります。

参加者視点のほかにも、今回のイベントではデジタルネイティブ世代のプロデューサーが加わったことも、成功のカギとなったと考えています。これまでリアルイベント中心にプロデュースしてきたベテランの熟練した手腕に、若手プロデューサーの新鮮な視点が加わることでで、十全なプロデュースができたと感じています。オンライン形式やハイブリッド形式の開催がリアル形式と同等に主流となるであろう今後のイベントプロデュースでは、デジタルネイティブ世代のプロデューサーの感性や企画力もとても重要となります。ベテランと若手がタッグを組み、経験値×経験値のJCD総合力でのプロデュースが今回のイベントを成功へと導きました。

実は今回の表彰式にリアル参加した受賞者は、自らも日頃よりお客様に対してイベントを提案する立場にあります。つまり、イベントに対して非常にシビアな視点を持つトップセールスの方々でした。そのような方たちから表彰式後に「ぜひ今回のイベントのノウハウを教えて欲しい」「事例としてお客様に共有したい」という問い合せを多数いただきました。そのように一定の評価をいただけたことは我が事ながらこのイベントが成功したと胸を張れるポイントかなと思います。

司会:受賞者・参加者それぞれの視点を持ってきめ細やかに運営計画を立てていったことに加えて、ベテランと若手のプロデューサーの経験値と経験値の掛け合わせが化学反応を起こしたということですね!まさにJCDの多彩なイベントプロデューサー陣の知を結集させたことが成功につながったわけですね。

演出面については、そういった経験値×経験値な要素はありましたか?  

4.逆転の発想。プレゼンテーターが受賞者の席へ


まず何よりも表彰式そのものの形式を覆しました。前述した通り、通常表彰式では受賞者がステージ上に上がって表彰を受けるのが一般的です。しかし、これではステージ上が密になってしまい、コロナ禍での開催には不向きと言えます。今回の表彰式のポイントとしてリアル参加者は全員が受賞者でした。そこで逆転の発想をして、会場全体をステージに見立て、プレゼンテーターが受賞者の元へ駆け寄って表彰するという形式にしたのです。こうすることで、受賞者はわざわざ自分のところまで出向かれて祝福される特別感を味わえ、オンライン視聴者にとっても、カメラの目線を通してリアルにその場に参加しているような臨場感を味わえる仕掛けづくりを行いました。

司会:なるほど。オンラインでも臨場感を味わえる仕掛けづくり、まさにデジタルネイティブならではの目線ですね。ハイブリッドイベントならではで気にかけた部分はありますか?

 

表彰式イベント企画書

 

5.リアルとオンライン。2つの視線を意識する

ハイブリッドイベントでは、オンライン配信のカメラワークを特に意識しています。先にお伝えした通り、リアル参加者の目線とオンライン参加者の目線を、どうやってカメラを通じて作り出せるのかという視点です。というのも、リアル参加者はその場の映像や照明やステージ上の演出を直に体感できます。これに対してオンライン視聴者は、PCやタブレット、スマートフォンの画面上でしか味わえないので、会場の細かな雰囲気まで伝えることはなかなか難しいのです。オンライン上でも生の雰囲気を感じとってもらうために、いかに工夫して映像中継を配信すれば良いのか。これについては、常に研究しています。通常のリアル開催だと2台のカメラで撮るところを、今回の表彰式では6台のカメラを導入して平面的ではなく立体的な魅せ方で作り上げました。こうすることで、オンラインでの参加者には実際にその場にいるような臨場感はもちろん、俯瞰と客席からの複数の角度からの映像を駆使した緩急により、飽きのこない映像づくりを演出しました。

また、ステージの床面にLEDパネルを設置し、客席からは見えない、カメラを通してでしか見えない部分にも演出を施すなど、オンライン参加者の目線も強く意識しました。

JTB 表彰式 配信画面

JTB BS AWARD2021実際のオンライン配信画面(オープニングシーン)

司会:ハイブリッドイベントにおいては、これまでのリアルだけ・オンラインだけというイベントとは異なるセンスが、イベントプロデューサーには求められてくるということですね。カメラワークをはじめとするリアルの会場でステージを見る目線と、オンライン視聴者の目線を持って企画を作っていくということが大切なんですね。 

6.コロナ禍でも飲食パーティーは実現できる


司会:表彰式の後に飲食パーティーも行ったと聞きましたが、コロナ禍での苦労はありましたか?

今回のイベントでは、感染症対策を万全にしたことでwithコロナでも飲食パーティーを実現することができました。

当初は立食パーティー形式での要望が主催側からありましたが、やはりそれはまだ難しいと判断し、一人一皿でサーブされる正餐形式に変更しました。グラスを重ね合う乾杯も実施しませんでした。席を立たず、お酌もご遠慮いただきました。通常の正餐スタイルのパーティーですと中盤にライブエンターテイメントを入れた3時間ほどでの実施が多いですが、1.5時間で早めに終われるようにメニュー構成も工夫しました。さらにお帰りの際にテーブル毎に席を立つ規制退場を採用しました。改めて振り返ってみても、カットできるものには大幅に手を入れたという実感があります。これがコストメリット面でも貢献したのは思わぬ副産物でした。

表彰式 パーティーの様子

JTB BS AWARD2021 パーティーの様子

カットばかりではもちろんありません。こうした制約下でも楽しんでもらえるよう工夫も凝らしています。会場の四隅にスクリーンを設置して、各部署からの応援メッセージなどを映し出し、席上でも楽しめるような映像コンテンツを提案しました。そして何よりも、イベントスタッフを含め、今回の表彰式に関わる全ての人に抗原検査キットを事前配布し、当日その結果を踏まえて参加してもらうことを徹底したのです。コミュニケーションは大事にしつつも、可能な限り接触はしない。こうしたひとつひとつの問題をクリアすれば、飲食パーティーを通じてリアルでコミュニケーションが取れるイベントの開催は十分可能であるという証明になったと思っています。

 司会:飲食提供においても万全な対策と、主催側の意向の優先順位をくみ取り形にしていったということですね。コロナ禍でも、飲食を提供したパーティーで参加者同士のネットワークを深めてもらいたいという主催者様の励みになるお話ですね。

7.ハイブリッド表彰式を成功させるポイント 


私たちプロデューサーが、客観的な視点を持って企画・運営にあたれるかどうかにイベントの成否はかかっていると言っても過言ではありません。コロナ禍においてリアルとオンラインが介在するイベントであったとしても、お客様の要望を捉えつつ、参加者・視聴者双方を満足させるための俯瞰できる目線が求められます。さらに制作者の立場から言えば、テクニカルな知識も必要でしょう。どのような機材を用いれば最大限の効果を発揮できるのか。これはイベントの総合的な経費削減にも繋がります。

コロナ禍当初は、主戦場としていたリアルイベントが行えず、私たちにも苦しい時期がありました。その中でもチーム一丸となって、リアルで培った経験や新たな視点をオンラインそしてハイブリッドイベントへと昇華してきた結果が今しっかりと出始めていると感じています。経験と新しい視点を組み合わせ、これまでお話ししてきたようなイベント構築を行えることこそが、何よりの私たちの強みと言えるのではないでしょうか。また、私たちはお客様のご要望や社会状況の変化に合わせてこれからも進化を止めない集団でいたいと考えています。表彰式をはじめとしたイベントをお考えであれば、ぜひ一度ご相談ください。リアル、オンライン、ハイブリッド…と開催形式を問わず、お客様に寄り添うパートナーとして最適解を導き出せるよう共に尽力いたします。

JCDへのお問い合わせは、こちらからご連絡ください。


JTB BS AWARD 運営企画書ダウンロード


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國原 尚史

コーポレートソリューション部 エクゼクティブプロデューサー

イベント業界10年以上。金融業界・住宅メーカー・美容メーカー・服飾メーカー・外食系企業・通信系企業・システム系企業・飲料メーカー等様々な業界の企業ニーズに合わせた多彩なイベントを担当。表彰式をはじめ、周年事業、運動会、キックオフイベント、褒賞旅行など、幅広い分野のプロデュースを手掛けている。

吉田 翔

コーポレートソリューション部 イベントプロデューサー

若手イベントプロデューサーとして、数々のイベントの企画から運営までを担当。デジタルネイティブ世代の感覚を捉えたイベント施策に強みを持ち、オンラインイベントの企画・運営・配信を得意として、数多くのイベントを担当している。

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※社名・肩書きは対談開催(20225月)当時のものです。

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