世界のミーティング・展示会の最新トレンドを知る
~IMEX America 2024/IBTM World 2024出展レポート~

JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)はアメリカのラスベガスで開催された「IMEX America 2024」(2024年10月8日〜10日)とスペインのバルセロナで開催された「IBTM World 2024」(2024年11月19日〜21日)に参加しました。2つの展示会は、世界各国から多くのイベントプランナーやバイヤーが集まる大規模なMeetings&Eventsの見本市です。今回は、本多、栗原、ニカの3名が、海外のイベントプランナーとの情報交換で得た最新のミーティング・展示会情報やサステナブルな取り組み、日本との違いなどについて語ります。

世界各国のミーティングプランナーが集まる見本市に参加する目的
海外のMICE見本市への参加目的を教えてください。栗原:私はスペインで開催された「IBTM World 2024」に参加しました。日本の展示会は日本企業だけが集まることが多いですが、今回の展示会では、世界各国の企業が参加するので、それぞれの施工やPRの仕方など、日本との違いを知ることが目的の一つでした。世界各国のイベントプランナーや日本に興味を持つ方たちと情報交換ができればと思っていました。
本多:私は、海外に支店を持つ日本企業のお客様から、海外の参加者をお呼びするイベントを依頼される機会も多いので、海外での展示や装飾の仕方、サステナブルに対する考え方などを学びたいと思い、「IMEX America 2024」に参加しました。また、海外から来られる方が日本でイベントに参加をする際、どういったうところを重視し、日本にどのような魅力を感じているのか。選択肢の中に日本が入ってくる理由を把握して、ニーズをつかめたらとも考えていました。
ニカ:私は両方のイベントに参加しましたが、海外のイベントプランナーとの情報交換、最新情報のキャッチアップの2つが大きな目的です。また、来場者に英語で日本の文化や魅力を紹介したいとも思っていました。
参加されてどのようなことを感じましたか。
本多:昨今の円安状況もあり、日本のツーリズムへの関心の高まりを感じました。それと同時に、日本で観光と兼ね合わせたイベントをしたいのに、海外と日本とをつなぐイベント業者を知らないという声も多かったんです。東京、大阪という都市名は知っているけど、どんなところかはよくわからないという声もありました。ニーズがあるのに知られていないということは、私たちイベント会社が率先して入っていける市場だということですよね。
ニカ:私は、みなさんが日本についての情報をあまり持っていないことに驚きました。日本でイベントをしてみたいけど、よく知らないから紹介してくださいという声が多かったです。
人と人とがより交流しやすくなるための仕組みづくり
会場の雰囲気や各国の展示をご覧になった印象を教えてください。栗原:ドバイのブースは二階建てで、上の階はハイグレードな商談スペースになっていて、ラグジュアリーな見せ方が上手いなと感じました。アイルランドのブースでは、骨組みを作って布をかぶせるテンションファブリックが使われていました。布に印刷をするので色がとてもキレイで鮮やかなんです。中に光を埋め込むこともできるので、演出面でも変化がつけられます。施工面から見ても全体的に木工よりも軽く骨組みは再利用ができるシステム部材になっているので、環境にもやさしい装飾方法です。費用経済面でも長期的に見るとメリットが大きいと思います。日本でもテンションファブリックは使われる場面が多いですが、各国の使い方を見ることができてとても有意義でした。

本多:アメリカでも布素材を天井から吊った施工が目立ちました。ブースごとではなく会場全体に、参加者が気軽に立ち寄って意見を言ったり、写真を撮影したりできる参加型のコンテンツがあるんです。例えば、ボードに絵を描いて一つの作品を完成させるといったように、単なる商談の場ではない、来場者が楽しめる工夫がたくさん施されていました。エンタメ要素を盛り込むことで、気軽に相談できる雰囲気になるのかなと感じました。
セミナー会場も日本とはまた違った雰囲気だったそうですね。
栗原:スペインの会場は、中央にステージがあって、両サイドの客席がスポーツの競技場のように、スクリーンや登壇者が立つ方向から見て逆ハの字になっていました。この形のおかげで発表者が参加者に質問を投げかけやすかったようで、とてもインタラクティブな場になっていました。
本多:アメリカでは会場奥の1ヶ所にセミナーブースがまとまっていて、すべてオープンスペースになっていました。壁がないとマイクがハウリングしたり、音が混ざったりするのですが、参加者は全員ヘッドセットをつけて聞くので問題はありません。隣接した場所でセミナーをやっていても、それぞれの会議ごとに問題なく成り立っていて、素晴らしい工夫でした。セミナー終了後は参加者同士が交流するスペースも用意されていて、商談する場と交流する場がしっかりと機能していると感じました。
アフターコンベンションパーティーの雰囲気はいかがでしたか。
ニカ:イベント終了後に開催されるアフターコンベンションパーティーは、当たり前にお酒と音楽を楽しむクラブのような雰囲気なんです。それは日本の懇親会とはまた違った感じでしたね。
栗原:スペインの場合は、誰もが知っている名曲を演奏していて、音楽を聞きながらお酒と食事を楽しみ、さらに参加者同士のコミュニケーションも深めていける場が用意されていました。ネットワーキングの場を提供するから、あとは自分たちで関係性を築いてくださいという自由な環境が、日本との違いかなと思いました。
本多:アメリカはそこまで規模は大きくなく、一つのブースで立食パーティーが行われていて、自由に会話をするスタイルでした。くじを引いて景品が当たるといった催し物はありましたが、あとは食べて飲みながら、気になる人に話しかけて交流する雰囲気でした。日本を紹介しようと、私は名刺やポストカードを持って話しかけに行ったのですが、そういう人は少なかったです。そもそも名刺は基本的にQRコード化されていて、紙で持っている人はほとんどいませんでした。考え方自体が古かったというか、こういった海外との違いは把握していかなければいけないなと気付かされました。

エコやサステイナブルな取り組み
エコやサステナブルな取り組みに関してはいかがでしたか。栗原:スペインでは入口でシティウォーターの入ったボトルの配布がありました。会場内に水を汲めるブースがあって、サステナブルに水分補給ができるんです。参加者が首から下げるパスも再生ダンボールのような素材でできていて、エコでしたね。日本のイベントでもこういったサステナブルな取り組みに力を入れたいという主催者が増えていますが、従来品の方が安価ではあるため、コスト面との兼ね合いが課題です。

ニカ:グリーンを使ったデザインのブースも多かったです。サステナブルMICEを印象付けるトレンドなのかなと感じました。また、シンガポールのパビリオンでは、別の展示会で使ったブースをリサイクルしているということを表記したボードの掲示がありました。

本多:アメリカではイベント最終日に、各国のブースで残った食べ物を寄付として入れる箱が会場のいたる所に置いてあったんです。フードロスを減らす取り組みに感銘を受け、私も余ったお菓子を寄付しました。また、ニカさんの話にもありましたが、セミナー会場や待合スペースなど、あらゆるところに植物が置かれていたことは印象的でした。
アメリカでは、参加者のフライトをカーボンオフセットするという取り組みもあったそうですね。
本多:事前の参加登録の際に、どの交通手段で来場するかを入力しました。当該の交通手段で排出されるカーボンを主催者側でオフセットする仕組みのようです。
弊社でもCO₂ゼロMICE®(MICE会場で使用される電気を再生可能エネルギーに置き換えることでCO₂を実質ゼロにできるサービス)やCO₂ゼロSTAY®(ホテルや旅館などに宿泊することで生じたCO2排出相当量をオフセットできるサービス) などをオリジナル商材として取り扱っていますが、イベント参加者の交通手段にまで配慮していることに驚きました。このアメリカでの取り組みをJCDでも応用できないか、社内担当者に確認したところ、欧米では、割安でカーボンオフセットができる仕組みが整っているものの、日本ではまだかなり割高で、主催者サイドが負担できる範囲の金額では収まらないなどの理由から、現状ではハードルが高いようでした。
ただ、企業からのニーズはあると思うので、いずれ課題がクリアできたらサステナブルなソリューションとして導入できればと考えています。
会場で見て聞いて学んだことは、今後の提案に生かす

栗原:今回さまざまな国のイベントプランナーと話すことができて、日本人が思う「日本らしさ」と、海外の人が感じている「日本らしさ」は少し違うということは認識しておかなければいけないなと思いました。日本に海外の方をお招きする時は、海外の人が見たい日本を準備する必要もあるのではないかと考えるようになりました。
例えば、どんなところが違うのでしょうか。
ニカ:日本でのユニークな体験に関心を持たれている方は多いですよね。会議やカンファレンスだけでなく、参加者に特別な体験を提供することが大事なんだなと気付きました。例えば、お相撲さんや舞妓さんのパフォーマンスや寿司を握る体験などをご紹介したところ、多くの方が興味を示していました。日本でしか体験できないことを盛り込みたいと考えている海外のお客様に向けて、私もこれからさまざまな日本文化を発信していきたいと考えています。
栗原:食事に関しては、お寿司や天ぷらは一般的ですが、たこ焼きやお好み焼きといった粉ものに興味を持たれている方が多かったのは意外でした。
本多:海外の方のニーズと実態に合った提案や演出をしないと受け入れられないということは、私も感じました。サステナブルな要素の導入に関しても、現状はコスト面で尻込みしてしまう企業が多いとは思いますが、今回のイベントでの学びを活かして、カーボンオフセットやハラールフードなど積極的に提案していきたいです。
海外で開催したイベント事例

コロナが落ち着き、対面でイベントが開催されるようになり、海外からお客様を招くケースや日本から海外に出向いてイベントを開催するケース も増えています。ここからは、JCDがこれまで手掛けてきたグローバルMICEの事例をご紹介します。
海外インセンティブミーティング
某美容系メーカー様のタイでのインセンティブミーティング。イベントの目的は参加者のみなさんの努力を称え、特別な体験を通じてブランドロイヤリティを向上させること。会場には「コムローイ」というミニ気球をイメージした照明を配置し、ディナーは屋台をイメージしたブッフェスタイルにするなど、現地の雰囲気を存分に取り入れた演出が可能です。
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海外の拠点をつないでの周年記念式典パーティー
某建設会社様の創立80周年・グループ発足1周年の記念式典パーティー。東京・大阪・福岡・シンガポールの4会場をつないで、約1,600名が参加。複数の海外拠点と同時にイベントをしたいといった企業様のニーズにお応えいたします。
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外国人社員や海外パートナーを招待した国内で開催したイベント

日本独自の文化を楽しむことができるビジネスイベント
世界各国からパートナー企業を招待した、参加者は約2,000人という大規模なビジネスイベント。寺院と東京タワーという新旧の東京名所を感じていただける、増上寺で実施。食事を縁日スタイルで楽しんでもらうなど、海外の方のニーズに沿ったプログラムもご提案が可能です。
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海外の方を招待したイベントのトータルプロデュース
東京国際フォーラムで開催された、既存・新規顧客との関係性強化や、日本支店の認知拡大のためのビジネスイベント。会場や飲食の手配、進行、演出、キャスティング、二次会の手配まで、トータルでプロデュース。海外とのコネクションを生かし、細かいご要望への対応も可能です。
詳細はこちら
JCDは海外イベントやインバウンドイベントも含め、さまざまなイベントのトータルプロデュースが可能です。今回のMICE見本市参加で得た知見や新たな気づきを活かし、より効果的でクオリティの高いイベントをご提供いたします。
本多 茜
モチベーションイベント局
主にインナー領域で、株主総会や表彰式、社員総会や運動会など、様々なイベントに携わる。人と人との交流のためのコンテンツによるコミュニケーションの活性化や、従業員のモチベーションアップなど、お客様の課題解決のためのイベントを多数制作。
モチベーションイベント局
主にインナー領域で、株主総会や表彰式、社員総会や運動会など、様々なイベントに携わる。人と人との交流のためのコンテンツによるコミュニケーションの活性化や、従業員のモチベーションアップなど、お客様の課題解決のためのイベントを多数制作。

栗原 隼人
モチベーションイベント局
主に保険業界のお客様を担当し、表彰式や周年イベントなどを手掛ける。周年イベントでは、企画や映像制作だけでなく、周年プロジェクト全体としての取り組みもサポート。
モチベーションイベント局
主に保険業界のお客様を担当し、表彰式や周年イベントなどを手掛ける。周年イベントでは、企画や映像制作だけでなく、周年プロジェクト全体としての取り組みもサポート。

ニカ・マッマドワ (Mammadova Nigar)
事業企画局
アゼルバイジャン出身。担当はグローバルサイト の記事の制作。海外からのさまざまな問い合わせにも対応。今回のような、海外の展示会や海外でのイベントに関してのPRも担当している。
事業企画局
アゼルバイジャン出身。担当はグローバルサイト の記事の制作。海外からのさまざまな問い合わせにも対応。今回のような、海外の展示会や海外でのイベントに関してのPRも担当している。
