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何からはじめる?どう進める?
周年事業の基本設計とは
公開日:2026.07.14 更新日:2026.07.14
周年は、創業から続く歩みのなかで訪れる特別な節目です。
その節目には、経営として何を示すのか、社員にどんな意識や行動の変化を促したいのか、社外へ何を発信するのか、採用やブランド、組織活性まで含めた多くの期待が重なります。
一方で実際の現場では、「まず何からはじめればいいのか」「どのような順番で進めればいいのか」が整理されないまま、記念式典、周年ロゴ、コンセプトムービー、記念誌、特設サイトといった施策の検討から入ってしまうことも少なくありません。
しかし本来は、何をつくるかではなく、「なぜ取り組むのか」「誰に何を伝えるのか」そして「この周年を通じてどんな変化を生み出したいのか」が重要です。
自社らしさを表現し、未来へ向けた前向きな変化を生み出す機会にするためには、何より先に「基本設計」を考えることが大切です。
私たちJTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、30年以上にわたり数多くの企業様の周年事業を支援してまいりました。
本記事では、JCDが長年培ってきた知見をもとに、周年事業を構想・推進するうえで押さえておきたい、基本設計の考え方と進め方についてご紹介します。
【 目次 】
なぜ、周年事業に取り組むのか?目的と効果について
常に変化する社会のなかで、企業が持続的に成長していくためには、その存在意義と提供価値が、社会と個人(従業員)の双方から選ばれ続ける必要があります。周年事業は、そのための前向きな変化を企業に促す役割を担うと考えています。単なる記念や祝賀ではなく、未来の成長に向けて、自社をあらためて見つめ直すための取り組みです。
そこで大切になるのが、過去・現在・未来という時間軸で事実を整理することです。創業の原点、大切にしてきた価値観や強み、未来へ継承していきたいこと、改善していきたい課題、そしてこれからどんな会社・社会をつくっていきたいのか。
そうした事実に向き合うことで、自社らしさの輪郭が明確になり、周年事業は次の成長へ向けた意思ある取り組みへと変わっていきます。
基本設計を進める前に、まず整えたいこと
基本設計に入る前に、まず整えておきたいのが、社内の意思決定の構造です。周年事業は、一定規模の予算を伴い、社内外からもさまざまな期待が寄せられるプロジェクトです。施策の内容や進め方によって、経営、営業、開発、広報、人事、総務など、さまざまな部署が関わるため、まずは誰がどのように関わり、どのように意思決定していくのか、その構造を整える必要があります。
たとえば、主幹部署を中心に基本設計を固めることはできるのか、それとも部署横断で議論しながら進める必要があるのか。役員の誰がどの段階で関与し、どこまで判断や合意が必要になるのか。場合によっては、サーベイなどを通じて社員の声を取り入れることも必要になるかもしれません。こうした前提が曖昧なまま進んでしまうと、後のフェーズで意思決定のズレが表面化し、基本設計そのものが揺らぎやすくなります。
まずは、関係者が納得感を持って進められる状態をつくることが重要です。
また、基本設計が固まり、各施策を具体化していく段階では、部署横断で、かつ次世代を担う社員を巻き込んだプロジェクト体制を構築することも有効です。さらに、周年の意図や進捗を社内に伝え、浸透を後押しするアンバサダーのような存在がいることで、社内のムーブメントも生まれやすくなります。
周年事業の基本設計における4つのステップ

周年事業の基本設計は、大きく4つのステップとなります。
・STEP1:前提を定める
・STEP2:語るべき事実を整理する
・STEP3:事実を読み解き、目的・コンセプトを設定する
・STEP4:目的・コンセプトを軸に、施策を選定し、体験の方向性を描く
JCDでは、関係者が納得感を持って進められる状態をつくれるよう、ヒアリングやインタビューを通じて、この基本設計を支援しています。
STEP1|前提を定める
まず定めたいのは、WHY、WHO、WHATの3つです。つまり、なぜ周年事業に取り組むのか、誰に向けた機会なのか、何を伝えるのか。この3点を定めることが出発点になります。
周年事業には、関係者ごとに異なる期待が乗りやすいものです。経営は未来へのメッセージを重視するかもしれませんし、現場は誇りやねぎらいを求めているかもしれません。広報は社外発信の効果を、人事はエンゲージメント向上を見ているかもしれません。
そのため、施策を考える前に、何のための周年なのかを定義する必要があります。前提整理とは、後の方向性をつくる土台です。ここが曖昧なままだと、何を重視して周年事業を設計するのかが定まらず、その後の施策の方向性もぶれやすくなります。
STEP2|語るべき事実を整理する
STEP1で定めた前提を踏まえながら、「過去」「現在」「未来」という3つの時間軸で自社を見つめ直し、周年事業として語るべき事実を収集・整理していきます。
ここでいう事実とは、単なる沿革や出来事の羅列ではありません。創業の原点、大切にしてきた価値観や強み、未来へ継承していきたいこと、改善していきたい課題、そしてこれからどんな会社・社会をつくっていきたいのか。そうした事実を見つめ直し、集めていくことが、次のSTEP3で目的やコンセプトを定め、STEP4で体験の方向性を描いていくための材料になります。
また、いまは組織と個人(従業員)の関係性がフラットになってきている時代です。会社から一方的にメッセージを伝えるだけでは、共感や納得は生まれにくくなっています。そうしたなかで周年事業では、「この会社は何を大切にしてきたのか」「いま何を見つめ直すべきなのか」「これからどこへ向かおうとしているのか」を、組織のナラティブとして語れる状態にしていくことが大切です。過去から現在、そして未来へとつながる意味を、社員一人ひとりが自分ごととして受け取れるようにすることで、共感は生まれやすくなります。
STEP3|事実を読み解き、目的・コンセプトを設定する
ここでは、自社を見つめ直す中で整理した事実を、事業と風土の両面から読み解いていきます。
なぜ事業と風土の両面を見るのか。
それは、企業の歩みが、その両輪によって形づくられているからです。事業は、その会社が社会にどのような価値を提供してきたかを示します。一方で風土は、その価値を、どのような考え方や行動、関係性によって支えてきたのかを示します。事業だけを見れば、実績や成果の整理にとどまりやすく、風土だけを見れば、内向きの共感で終わってしまうこともあります。
こうして事業と風土の両面から見ていくことで、自社が大切にしてきたものや、いま見つめ直すべきこと、これから向かおうとしている方向性が見えてきます。さらに、そうした視点で事実を読み解くことで、STEP1で定めた「なぜ取り組むのか」「誰に何を伝えるのか」に加え、「何を大切な軸としていくのか」も明確になってきます。
その結果として、本質的かつ関係者の納得を得やすい目的やコンセプトを言語化しやすくなります。周年事業の本質は、事実を整理し、読み解くことで、自社らしさを捉え直し、未来に向けた意味を定めることにあります。この工程を経ることで、周年は「記念」ではなく、次の成長につながる「事業」へと変わっていきます。

STEP4|目的・コンセプトを軸に、施策を選定し、体験の方向性を描く
このステップで行うのは、周年事業における施策を通じて、どのような体験を届けていくのか、その方向性を描くことです。
STEP1で定めた前提、STEP2で整理した事実、STEP3でそれらを読み解いて設定した目的・コンセプトを踏まえることで、取り得る手段はある程度見えてきます。
STEP4では、そうした施策候補に対して、目的・コンセプトを踏まえながら、どのような方向性で体験を形にしていくのかを考えていきます。大切なのは、「何を実現するために、その手段を選ぶのか」という視点です。あわせて、社内体制、コスト、スケジュールも踏まえながら、実現可能な手段を選択していきます。
たとえばイベントであれば、参加者が同じ時間と空間を共有するからこそ、共感や一体感を高めたり、企業の価値観や未来への意思を体感として伝えたりすることができます。そのうえで、誰を対象に、いつ、どこで実施するのかといった概要を設定し、さらに、どのようなコンテンツや演出によって、その体験を届けるのかを設計していきます。
記念誌であれば、手元に残り、読み返される媒体だからこそ、企業の歴史や価値観をじっくり理解してもらい、未来への意思を自分のペースで受け取ってもらえる体験を実現できます。そのうえで、誰を対象に、いつ届けるのか、紙なのかWEBなのか、部数やページ数をどうするのかといった概要を整理し、どのような編集やビジュアルによってその体験を形にするのかを考えていきます。
映像であれば、短い時間の中で感情を動かし、印象深くメッセージを届けることができます。見る人の共感を引き出したり、自社らしさや未来への意思を強く印象づけたりする体験を実現しやすいのが特長です。そのうえで、誰を対象に、いつ、どの場面やメディアで展開するのかを整理し、さらに、どのようなシナリオや表現によって、その体験を届けるのかを構成していきます。
このように、施策ごとに役割や特性は異なりますが、共通して大切なのは、その施策を通じてどんな体験を実現できるのかを、目的・コンセプトに沿って考えていくことです。・何を実現するために、その手段を選ぶのか。
・その手段を通じて、どのような体験を届けるのか。
それらに一貫性があるとき、周年の施策は単なる表現ではなく、企業の意思や自社らしさを伝える体験となります。STEP1〜3で積み上げてきた考え方が、ここで初めて具体的な施策の方向性として形になっていくのです。
JCDがご提供するワークショップを通じた基本設計のアプローチ
基本設計は、ヒアリングやインタビューをもとに進めるだけでなく、関係者を巻き込みながら設計していく方法もあります。たとえば、主幹部署メンバー、プロジェクトメンバー、役員などを対象に、ワークショップを実施することがあります。
この方法の特長は、関係者が一堂に会し、周年事業に対する前提や認識をそろえながら、対話を通じて方向性を見いだしていける点にあります。過去・現在・未来の時間軸で事実を整理しながら議論することで、周年事業を通じて自社の歩みや現在地、これから目指す方向を、関係者自身の言葉で捉えやすくなります。
また、こうした場を設けることで、関係者の納得感や当事者意識を高めながら、基本設計を進められるのも大きな意義です。実際には、事前課題や簡単なインプットを行ったうえで、半日程度のワークショップの中で、論点整理から体験の方向性の言語化まで進めることも可能です。
周年事業は、担当部署だけで完結するテーマではなく、経営や現場など、さまざまな関係者の認識をつなぎながら進めていく必要があります。そのためJCDでは、ヒアリングやインタビュー、資料整理に加え、必要に応じてワークショップという形で関係者を巻き込みながら、基本設計の支援を行っています。

周年の“意味の設計”に伴走できることが、JCDの強み
周年事業は、単発のイベントでも、単独の制作物でもありません。
企業の想いを形にする複数の施策が同時並行で進む、複合的なプロジェクトです。そのため、基本設計をしっかりと定め、その思想を各施策へ一貫して落とし込んでいくマネジメントが欠かせません。同時に、各施策における高い専門性も求められます。
JCDの強みは、MICE、プロモーション、HRコンサルティングなど、幅広い領域の知見と機能を持ち、こうした多様な専門性をONE TEAMで束ねられることにあります。また、時間軸の中でお客様の想いと組織の歩みを読み解き、それを周年事業の意味として整理することで、記念式典、周年ロゴ、コンセプトムービー、記念誌、特設サイト、広告・プロモーション、組織活性など、各施策の体験設計へ一貫して展開していくことができます。
構想だけでも、実装だけでもない。
そのあいだにある“意味の設計”から伴走できることが、JCDの強みです。
河野 一樹|Motoki Kawano
コーポレートソリューション部
モチベーションイベント局
エグゼクティブプロデューサー/
クリエイティブディレクター
従業員・販売パートナー・お客様(BtoB)向けのコミュニケーションイベントを専門としてプロデュース・クリエイティブディレクションに従事。
コンセプト設計から現場のディレクションまで一貫して手掛ける。
周年事業においては、イベント施策のみならず、事業全体の設計支援・伴走まで担当。

*肩書きは2026年7月時点のものです。
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