講演会・セミナー運営はここで差がつく
イベントプロデューサーが語る成功の法則

JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)が手掛けるMICE事業の領域は、ビジネスイベントやプロモーションイベントをはじめ、企業のインナーイベント、国際会議、学会、展示会、国家試験と多岐にわたります。なかでも製薬業界をはじめとする企業や、官公庁などのイベント運営はその専門性から多岐にわたる知識とノウハウが求められ、特に細やかな配慮が必要です。この記事では、ミーティング&イベント第一事業局の福士と篠﨑が、イベントプロデューサーとしての視点から、具体的な事例を交えつつ、質の高いイベント運営を実現するためのポイントをご紹介します。

講演会・セミナー 成功の鍵は、一貫したプランニングと事前準備

福士
イベントは、参加者に与える印象がそのまま主催者である企業・団体のイメージに直結します。一貫性を持ったプランニングやホスピタリティ高い運営を実現することが私たちの最も重要な役割です。そのため、企画立案、提案書作成、見積もり、コンペといった通常の営業業務に加え、案件獲得後のスケジュール策定・プランニング、当日の運営、イベント後のフォローアップまでをワンストップで管理するPCO(Professional Congress Organizer)機能を備え、総合的な運営を提供しています。

篠﨑
講演会やセミナーの運営では準備段階に重点を置いています。これはどのようなイベントでも基本となりますが、当日のスムーズな進行のため、必要事項をリストアップし、綿密な事前計画を立てるなど、準備を徹底的に行います。準備が不十分な場合、予期せぬ問題の発生や、イベントの目的が曖昧になり全体の流れが散漫になるなどの状況が生じてしまいます。そうした事態を避けるため、準備段階で情報をしっかりとまとめ、当日運営に必要なマニュアルや進行用台本を作成し、チーム内で共通認識を持って推進できるよう準備を進めます。

誰がいつまでに何をする?タスクを明確にして進めるコツ

篠﨑
講演会やセミナーでは下記の図のような行程に沿って運営しています。まず、それぞれのタスク実行にかかる制作期間や主催者の確認、クライアント内社内承認にかかる時間を予め把握し、プロジェクトが動き出す一番初めにスケジュールを計画しています。タスクを洗い出し、主催者とスケジュールの認識合わせを最初に行うことで、「だれが」「いつまでに」「何を」決める必要があるのか、それまでに何をしなくてはいけないか、共通認識をもって準備を推進することができます。これにより、イベント全体を通して一貫した品質とサービスの提供が可能になっています。こうした動きは、いち担当者のみならず、チームのレガシーとして根付いており、JCDにおける安定したパフォーマンスにつながっています。

講演会・セミナーの運営に重要な「専門性」と「ホスピタリティ」とは?

福士
まずは会場選定・仕様検討についてですが、イベントの価値提供を最大限にするために重視するポイントとなります。当社の担当者たちは全国各地の会場を熟知しているので、クライアントの訴求したいものやサービスの世界観を作り出せる会場を選定し、提案することを心掛けています。製薬会社様主催の講演会の場合は、全国から宿泊を伴う参加の方も多く、かつ過密スケジュールの中でご参加されているなど業界特有な参加者特性があります。主要駅・空港からの利便性も考慮した会場提案を行うだけでなく、来場後もスムーズな動線を設計したり(受付・クローク配置等)、滞留が発生しない誘導配置を行うなど工夫をしています。会場の提案だけでなく、ホスピタリティの高い当日運営まで想定をして会場仕様を提案できることが、PCOとしてのJCDの強みであると考えています。

篠﨑
イベントで使用する制作物に関しても細かな配慮が必要です。製薬・医療機器業界に関わらず、官公庁をはじめさまざまな業界で、独自のコンプライアンス方針や規定、関連する法令があるので、遵守しながら制作を進行しています。必要に応じて制作物をクライアント内で審査を通すこともあります。ときにはクライアントから支給されたガイドラインを読解しながら準備を進めるのですが、専門的な内容は各業界に精通しているパートナー企業とも連携して正しく理解し、ガイドラインに遵守して制作できるよう体制を整えています。これらの知見やルールをチームとして蓄積しておくことで、透明性と一貫性のある品質管理で正確性を維持し、クライアントとの信頼関係を築いています。

福士
また、制作物推進のなかでクライアントから要望が出た際は、単に実行するだけでなく、さらに効果的な提案を心掛けています。新発売記念イベントでのモニュメントの製作事例にご紹介しますと、せっかく新規で製作をするのであれば、一度きりではなく、他イベントでも活用ができるもの、製品の象徴となるようなものをという思いから、「10年利用できるモニュメント」をコンセプトにロゴモニュメントを作成いたしました。
その後も各イベントでモニュメントを活かした装飾提案を行い、【この製品といえばこのロゴモニュメント】と印象付けることができております。「イベントの1日」だけではなく、その先も見据えて提案ができることが、年間を通してクライアントに正対しているJCDならではの強みだと思います。

リスクへの備えは十分?ホスピタリティを支える危機管理・情報管理

福士
緊急時のトラブルに対応できる協力体制づくりもイベント運営においては欠かせません。過去には、悪天候のため飛行機が飛ばず、イベント当日に登壇者が来場できなくなったことがありました。そこで急遽、登壇者の講演をプログラムの後ろに変更し、リモートでの講演に調整を行いました。登壇者のいる地域を確認したうえで、近隣のホテルには配信場所の協力を仰いで部屋を1室用意してもらい、無事にリモート講演をしていただくことができました。全国に広がる社内外のネットワークを活かした対応力も当社の得意とするところで、登壇者も来場者も、そしてクライアントにも喜んでいただけた講演会となりました。
登壇者も参加者も主催者にとって重要なお客様であり、それぞれの方ごとに対応の仕方を考え運営しています。また、スタッフひとりひとりが主催者の一員として、ホスピタリティある対応ができるよう心がけています。

篠﨑
また、特定の業界に限ったことではありませんが、私たちは提供するサービスの特性上、お客様の重要な情報をお預かりすることが多くあります。我々の部署*では、2018年から継続して「ISO/IEC 27001情報セキュリティ認証」を取得し、情報資産の適正な管理とリスク低減につとめ、お客様から安心して案件のご依頼をしていただける環境づくりをしております。

*【東京オフィス】製薬業界を中心としたPCO業務、コンベンション第一事業局における官公庁を中心としたMICEの運営業務及び支援事業に関する事務局業務/【大阪オフィス】製薬業界を中心としたPCO業務

事前準備と対応力
~プロフェッショナルな運営が講演会・セミナーを成功に導く

篠﨑
改めてお伝えしますが、講演会やセミナー運営では、イベント当日にむけた準備期間が重要です。当社ではクライアントに求められた内容だけでなく、これまで培ってきた経験から必要になる事項を先読みして準備することを心掛けています。その際、やみくもに準備するわけではなく、「本当に必要なもの・ことは何か」を常に問いかけながら進めていきます。

イベント担当者様が、ある意味、制作や運営に関しては手離れよく、イベント実施の要となるプログラム検討や集客に注力できること、主催者にとってのお客様とのコミュニケーション深耕など、本来業務に取り組んでいただけるようにするのも、イベントのプロである私たちJCDの役割であると考えています。信頼感と専門性を両立し、お客様の想像を超えることこそ、プロフェッショナルなサービスだと自負して取り組んでいます。

福士
企業イベントは成功させることで、さらに次のステップやチャンスが生まれ、つないでいくことができます。主催者にとって営業拡大や接点拡大の貴重な機会となるイベントだからこそ、ぜひプロの手を借りることも検討してほしいと思っています。当社は豊富な経験に基づく知見を活かし、期待を超えるホスピタリティの提供や継続的な品質管理、来場者層に合わせてカスタマイズされたイベント運営や演出なども強みにしています。イベントを成功へと導く質の高い運営を通して、さまざまな業界のサポートに努めていきたいと考えています。
講演会やセミナーの開催をご検討されている方は、ぜひJTBコミュニケーションデザインへお問い合わせください。

福士 蘭
コーポレートソリューション部
ミーティング&イベント第一事業局

2011年、JCDの前身となるICSコンベンションデザインに入社。自動車やIT、美容関係などの企業の表彰式やインナーイベント、展示ブース運営、医療機器のセミナーやイベントなどを幅広く経験。JCDに統合後は、製薬・医療機器業界をメインに民間企業や自治体などの講演会、セミナー、カンファレンス運営に従事。プライベートでは2児の子育てに日々、奮闘中。

篠﨑 茜
コーポレートソリューション部
ミーティング&イベント第一事業局

2014年に同じくICSコンベンションデザインに入社。以降、一貫して製薬・医療機器業界に関する講演会やセミナー、カンファレンスに携わり、ホスピタリティの高いサービスをモットーに業務に励む。趣味は野球観戦で、12球団全ての本拠地を巡ることが目標。残すはあと2箇所のみなので、子育てが少し落ち着いたら制覇予定。

*肩書きはインタビュー(2025年03月)当時のものです。