イベントマーケティングの視点から考える「これからの顧客接点の作り方」イベント開催の成果を最大化するために、今、何をするべきか。

新型コロナウイルス感染症の影響によりイベントの形態や手段が大きく変わりました。これまでイベントはリアル開催が基本でしたが、20204月以降に開催されたイベントの約8割が完全オンライン開催、または、リアルとオンラインを併用するハイブリッド形式での開催になっています。

オンライン化によりイベントに参加できる対象者は広がりました。また、デジタルプラットフォームの進化により、参加者の動向データ(行動ログ)を横断的に得ることも容易になってきています。

一方で、確度の高い顧客をいかに集客できるかや、イベントで得られたデータの効果的な活用が、その後のマーケティングの成否に大きな影響を及ぼすようにもなっています。

本コラムでは、イベントの開催形式が変化したことで、どのような課題が生じているのかをご紹介し、今取り組むべき「イベントマーケティング」について考えます。

イベント マーケット リサーチ

 

イベント開催形式の変化とビジネスへの影響

最初に、イベントがどのような形式で開催されているのかをご紹介します。

20204月以降、JCDが取り扱ったイベントの開催形式は、完全オンラインとハイブリッド形式が約80%を占め、オンラインプラットフォームを通じてのイベント開催が一般的となりました。今後もオンラインまたはハイブリッド形式での開催が定着していくと考えられます。

ハイブリッドイベント データ

 

コロナ禍は、イベントの開催形式を大きく変えましたが、ビジネス全般に対しては、どのような影響を及ぼしているのでしょうか。

アドビ社がBtoB企業の経営層、営業管理職、マーケティング担当者を対象に実施した調査では、コロナ禍におけるビジネス課題として、4割以上が「新規商談や営業活動の減少」と答えました。背景として、これまで対面での顧客接点が営業活動の中心となっていた企業にとって、その機会が失われたことを表していると考えられます。

アフターコロナ デジタル戦略

オンライン・ハイブリッドイベントを開催するメリット

対面での営業活動が減るなか、新たな顧客との接点を創出するために活用したいのがオンラインによるイベントです。

オンラインやハイブリッド形式のイベントは、次のようなメリットがあります。

 ・多くの新規顧客と出会えるチャンスが拡大

遠方からの参加も可能となるため、日本中はもとより、世界中から参加者を募ることが可能。リアル開催のイベントでは出会うことのなかった顧客と出会える可能性があります。

・「伝える」から「引き出す」へコミュニケーションが変化

リアル開催のイベントでは「伝える」ことがメインでしたが、オンラインならではのチャットや投票などの機能の活用により、参加者から情報を引き出すことも可能となりました。コミュニケーションの質が「伝える」から「引き出す」へと変わってきています。

・多様な取得データで個別アプローチが可能に

イベントの参加人数や、参加者の登録時の属性情報、視聴記録などの行動ログ、事後アンケートなどは重要なデータです。これらのデータを分析し、参加者一人ひとりの興味や関心度を把握することで、イベント後の個別アプローチに活用できます。

オンライン・ハイブリッドイベントの課題

イベントがオンラインやハイブリッドになったことで、新たな可能性が広がるなか、企業のマーケティング部門ではどのような課題が生じているのでしょうか。

JDCがサポートさせていただいている企業のご担当者さまからよくお聞きするのが、次の2点です。

1)「集客の方法」がわからない

・どのようなメディアを使って、どのようなアプローチをすれば効果的に集客できるのかがわからない

・イベントごとに目的が異なるにもかかわらず、目的に応じた集客戦略が立てられない

2)「データの活用方法」がわからない

・申し込みフォームで参加者属性、事後アンケートでイベント参加の感想など、さまざまなデータを集めているにも関わらず、その情報を活用できていない

・そもそも、オンラインイベントからどのようなデータが得られるのかがわからない

この2つの課題は「イベントマーケティング」が成功するか否かの非常に重要なポイントです。

「イベントマーケティング」とは、イベントを通じて新規顧客、すなわちリードを獲得・育成し、自社PRや商談の創出などを行う一連の手法です。

 オンラインやハイブリッドが主流になってきた現在、イベント開催の成果を最大限に発揮させるためには、「集客」や「データ活用」をどのように行えばよいのでしょうか。

「イベントマーケティング」を成功に導く2つのポイント

イベントマーケティングを成功に導くためには、「ターゲットにあわせた的確な集客施策」と「イベント参加者の行動ログを活用した施策」の2つが重要です。

1)ターゲットにあわせた的確な集客施策

ターゲットの興味関心度合いに応じてメディアを選び、集客戦略を立てます。

【認知層】

「認知」層とは、自社商品やブランド名を知っていたとしても、それらを必要とする悩みやニーズを感じていない層です。対象となる範囲が広いので、マスメディアやプレスリリースを活用して幅広くアプローチします。

【興味関心層】と【比較検討層】

自社サービスに対して一定以上の興味関心を持っていたり、他社と比較検討をしたりしている段階の層に対しては、専門メディアやSNS広告、バナーや動画による広告が有効です。

活用するメディアは同じですが、使い方は異なります。例えば、同じ専門メディアでも、日ごろから積極的に専門サイトで情報を取得している興味関心層に対しては、タイアップ広告やバナー広告を使います。比較検討層に対しては、会員情報データをもとにターゲットを絞ったメール配信が有効です。

【申し込み層】

今まさにサービスについての問い合わせや購入を検討している「申し込み層」に対しては、専門メディアやSNS広告、バナーや動画による広告に加え、リスティング広告も実施します。

申し込み層に対する専門メディアの使い方としては、これまでにコンバージョンに至ったユーザーに絞ってピンポイントでアプローチする手法を取ります。

B2Bイベント集客

 

2)イベント参加者の行動ログを活用した施策

イベント参加者の行動ログからは、主に以下のようなデータが取得できます。

・フォーム入力内容     ・視聴した動画や視聴時間    ・投票への回答内容

・質問投稿内容                      ・回遊した企業ページ           ・資料ダウンロードの有無 

・動画再生などのページ内アクション                                 ・アンケート入力の有無/記入内容

 これらの内容を分析することによって、参加者の興味関心度合を測ることができます。また、下表のように顧客を分類することによって、優先順位を付けてマーケティングや営業活動に取り組むことができます。アンケートについては、回答の有無に加え、記載内容に基づきさらに細分化して優先順位付けを行い、より確度の高い顧客の発見につなげることも可能です。

顧客優先順位

 

イベントがオンライン化されたことによって、これまで以上に多くの顧客と出会うチャンスが広がりました。また、属性や行動ログなどイベント参加者から得られるデータが増えたことで、一人ひとりのモチベーションがどこにあるかを明確に把握できるようにもなっています。

興味関心度が高い参加者に対しては、イベント開催直後から商談を始めることが可能です。また、参加者の興味関心度に応じた個別アプローチも可能となっています。

イベントマーケティングを効果的に実践するための集客」と「行動ログの活用」について、具体的な施策をまとめた資料を作成しました。イベントへの集客を効率化し、参加者データを個別アプローチにつなげる流れを、実例を交えて取り上げています。ぜひダウンロードして、お読みください。

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