イベント企画書はどう書けばいい?書き方や構成のポイントを徹底解説
JTB 過去最大規模の社内イベント 成功の秘訣。主催者と共創で作り上げた イベントプロデュースの裏側
JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)では、株式会社JTBが開催した過去最大規模の社内イベント「All BS kick-off Meeting & BS-AWARD 2023」の企画・運営を担当しました。普段からイベント企画に携わるJTBグループの従業員が参加者であるため、クライアントへの提案のヒントになるような演出や生パフォーマンス、円滑なオペレーションなどにこだわり、1700名規模のイベントを成功に導きました。
本コラムでは、主催者であるJTBとともにイベントのプロデュースに携わったプロデューサーの國原と中島が語ります。
国内最大規模となる大型ホールを会場に
1700名規模が参加するキックオフミーティングを企画・運営
國原
「All BS kick-off Meeting & BS-AWARD 2023」は、JTBグループの中で法人営業に関わる部署に所属する従業員を対象に行われたキックオフミーティングと表彰式で、JTB、JTBビジネストラベルソリューションズ、JTB Next Creation、TSトラベルサービス、そしてJCDの合わせて5社の従業員が参加するイベントです。
今までもそれぞれの会社ごとに表彰式などは開催していましたが、この5社の所属社員全員を対象に、リアルに集まり開催するのは初めての試みで、国内最大規模の大型多目的ホールであるパシフィコ横浜ノースに、参加者約1700名が一堂に集い、JTBにおける過去最大規模のキックオフイベントになりました。
第1部がトップからのメッセージを伝えるキックオフパート、第2部が優秀な従業員を表彰するアワードのパート、そして第3部がパーティという内容で構成しています。第1部では会社が目指す戦略ビジョンをしっかりと伝えるため、事業本部のトップによるスピーチや、各社トップ同士のパネルディスカッションを行いました。第2部の表彰式は、実際に表彰される従業員にも受賞を事前に知らせないサプライズ方式にし、ステージに向かう3本のランウェイを作って、受賞者が広い会場内のどの席からでも登壇できる会場設計としました。第3部のパーティでは食事のほか、第2部の表彰式では発表しなかった最上位の賞の表彰を実施し、華やかなムードの中で社員同士の懇親が行われました。
中島
演出面以外に、受付やクロークといった運営面でも参加者が快適に過ごせるように、準備を手厚く行いました。今回は1700名近くの参加者がいたので、クロークの数やスタッフを一般的な体制より増員して対応したり、入場の受付システムには二次元バーコードを利用したりと、円滑な運営に細心の注意を払っていきました。 参加者からすると、どれだけパフォーマンスや演出が素晴らしくても、受付やクロークが混雑していたり、トイレに長蛇の列ができていたり、駅までの道が混んでいたりとインフラ部分に不便さがあれば、イベントそのものがマイナスの評価になってしまいます。大規模なイベントであればあるほどそれが顕著にあらわれることも多いため、参加者にストレスを感じさせない運営というのを大前提に私たちJCDはイベントプロデュースを行っています。
企業のビジョン・想いを伝え
一体感を生む社内イベントの重要性
國原
これまでたくさんのイベントの企画・運営に携わってきていますが、インナーイベント(従業員向けイベント)をより重要視している企業が年々、増えてきていると感じています。会社がどういう方向を目指しているのかといったビジョンが不透明な状態だと、業務に対する自身の役割が見出せず、仕事へのモチベーションが低下し、離職につながり、現代の日本社会の大きな課題である人手不足に陥ってしまいます。ですから、キックオフミーティングなどのインナーイベントで、トップからのメッセージをきちんと伝えて会社のビジョンを共有していくことは、従業員のエンゲージメントやモチベーションを高めるために重要な役割を担っているんですね。
コロナ禍ではインナーイベントがオンラインに切り替わったり、トップからのメッセージも映像のみになったりと簡略化されていました。しかし、その場の臨場感や主催者の熱意などは、リアル開催でなくては感じられません。トップの想いを直に感じてもらうことで、組織としての一体感が高まったり、仕事へのモチベーションが喚起されたりといった効果こそが、リアルでインナーイベントを開催する意義だと考えています。
中島
昔はインナーイベントも従業員のために「会社が開催してあげる」というスタンスでしたが、今は「従業員と会社の関係性は対等だ」という認識が一般的になってきています。この会社で働いていてよかったと感じてもらったり、帰属意識や愛社精神を育んだりする施策として、インナーイベントがより重要視されているように思います。
私の場合も、JCDには中途入社だったこともあり、会社に対する帰属意識が正直そこまで高くなかったんです。ですが、今回のイベントを通してトップの想いを深く知ることで、JTBグループの一員であることを実感することができました。インナーイベントが帰属意識を醸成させることに直結するのだと改めて感じましたね。
五感で体感する演出を
ショーケーシングに見立ててプロデュース
中島
今回の参加者は、JTBグループの従業員の中でもイベント業務に関わる参加者が多くいました。そのため、主催者側からは本イベント自体をショーケーシングに見立ててほしいとの要望があり、参加者が身をもって体験したものをお客様に提案する際の参考にできるようなイベントを一緒に考えていきました。
オープニングも映像を流すだけではなく、映像とライティングショーとのコラボレーションにしたり、カメラを客席に向けて映像の中に客席を入れ込んだりと、自分ごととしてもらえるような工夫をしています。また、今後のお客様への提案の参考になるよう、第2部のオープニングでは身体表現とLEDテクノロジーを組み合わせた「グラフィックポイ」の生パフォーマンスを、エンディングではサンドアートを取り入れました。パフォーマンスのほかにも、世界各国の軽食・お酒を楽しめるラウンジやオリジナルのフレームをあしらったプリクラ機、フォトブースなど、様々なコンテンツを体験できるようにし、五感で体感してもらえる場を設けました。
プリクラやグラフィックポイに関しては、JTBの営業担当からも「自分たちが企画しているイベントでも取り入れたい」といった問い合わせも多く、ショーケーシングといった視点でも成功したと感じています。また、今回は開催日が土曜日ということもあり、お子様がいる参加者も無理なく来場できるように、保育士を会場に派遣し託児所スペースを用意しましたが、こちらの反響も大きかったですね。さらに、第3部のパーティでは、歓談中に「オペ卓ツアー」を実施して、舞台監督や音響・照明オペレーター、映像オペレーターなど、会場を作り上げるオペレーション部門が座るテーブルで私自らマイクを握り、イベント運営の裏側を紹介していきました。今回は「ショーケンシングに見立てたインナーイベント」が主催者側の要望でしたが、お客様によってニーズは当然異なります。ですので、私たちは毎回お客様のご要望に合わせたインナーイベントをイチからプロデュースしています。
深く心に残るイベントは
「共創」なくしては成功しない
國原
インナーイベントは、アウター向け(社会、消費者向け)のイベントのように広く伝えるのではなく、深く従業員の心に突き刺すような演出が求められます。それぞれの企業によって刺さる演出が異なるため、私たちにすべてお任せといった形ではいいイベントを作り上げることはできないのではないかと、私は感じています。なぜなら、従業員が何を求めているのかを熟知しているのは主催者であるその企業の方々だからです。ですから、お客様も私たちと一緒にイベントを作り上げていく「共創」という視点がなければ、イベントは成功しないと思うんですね。
中島
主催者の想いを表現するためには、様々なハードルが生じることもあります。私たちの仕事は、それらのハードルを把握した上でお客様の想いをどうしたら伝えることができるのか、実現できる方法を提案していくことです。
國原
特にプロデューサーという役割は、多角的に物事を捉えなければなりません。一つがイベントを開催する目的や想いをどうしたら表現できるのかといった主催者目線、二つ目がそれを参加者の心に響かせるためにはどんな演出がベストなのかといった参加者目線、三つ目が限られた準備期間や予算の中で作り上げるにはどう進めていくのかといった制作者目線です。この3つの視点のバランスを取っていくのが、我々プロデューサーの役割なんです。
JCDには社内イベントに特化した部署があり、大小合わせて年間約200以上ものイベントを手掛け、豊富なノウハウや経験値を持っています。また、ワークモチベーションを事業としても展開してきた約30年の実績があります。インナーイベントの盛り上がりをその日限りで終わらせることなく、従業員のモチベーションを持続させるためのご提案もできますので、ぜひご相談ください。企業ごとの特性をいかした深く心に残るインナーイベントを一緒に作っていきたいと思っています。
國原 尚史
コーポレートソリューション部
モチベーションイベント局
エグゼクティブプロデューサー
JCDの前身であるJTBモチベーションに入社し、約15年もの間、企業のインナー向けイベントプロデュースに携わる。趣味はキャンプと週に2~3日のジム通い。筋トレを好きなものを好きなだけ食べるための免罪符としながらも、真面目にトレーニング。
中島 嵩哉
コーポレートソリューション部
モチベーションイベント局
主にプロモーションイベントを取り扱うの会社からJCDに転職し、企業のインナー向けイベントのプロデュースをメインに担当。学生時代は水泳をしていて、その頃から続けている筋トレを社会人なってから本格的に開始。休日は心身の健康のために、ジムで体を動かしてリフレッシュ。
*肩書きはインタビュー(2024年11月)当時のものです。