MICEサステナビリティ:持続可能な取り組み事例:調達②:エネルギー:会場電力関連とCO2ゼロMICE

会議やイベントの企画・運営を手がけるJTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、主催者である企業・団体のSDGsの達成に向けた取り組みへの支援を行っております。「経済的」「文化社会的」「環境的」視点において、専門的な知識を有するスタッフが様々な企画や運営をサポートすることで、企業・団体の担当者様とともにMICE サステナビリティを推進しています。

今回は、持続可能なエネルギー/会場電力関連の調達方針、再生可能エネルギーの動向JCDの新たな付加価値提案として「CO2ゼロMICE」を紹介します。

持続可能な調達方針

会議やイベントを運営するには、さまざまな物品やサービスをサプライヤー/ビジネスパートナーから仕入れ(調達)なければなりません。持続可能な会議・イベントを実施するには、主催者が「持続可能な調達方針」を定め、調達基準、運用方法を策定し、企画・運営会社はそれに則りながら運営する必要があります。企画・運営会社が提供するサービスの種類は主に以下のようになり、サービスごとにサプライヤー/ビジネスパートナーと協議・調整をして、主催者が定める持続可能な調達方針を実行する必要があります。

・飲食関連:ケータリング
  ▼コラム:持続可能な調達方針とイベント事例:ケータリング関連
・制作/装飾関連
・エネルギー/電力関連
・輸送や宿泊関連

今回は、会議・イベント会場の電力エネルギー関連の調達方針、再生可能エネルギーの動向と課題について、紹介します。


持続可能なエネルギー:会場電力関連の調達方針

エネルギー/電力関連の調達方針では、主に以下のようなことが含まれており、それらを実行することでSDGsの取り組みにもつながります。

・再生可能エネルギーの利用

・エネルギー使用量の削減

CO2など温室効果ガス排出量の削減

JCDでは、主催者の方針をもとに調達基準・運用方法から提案し、実施します。

sustainable purchasing

日本の持続可能なエネルギー/再生可能エネルギーの動向

持続可能なエネルギーとは、自然界に存在し、枯渇することがなく、CO2など温室効果ガスを排出せず、環境負荷を与えないエネルギーで、再生可能エネルギーという方法を通じて利用することができます。

日本では、各法律により再生可能エネルギーの定義がされていますが、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(エネルギー供給構造高度化法)における定義では、「太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマス」が挙げられています。(出典:環境省:再生可能エネルギー導入加速化の必要性 PDF資料)

renewable energy

日本の再生可能エネルギー電力比率は、2019年度18%で、2017年度の16%より増加しており、2030年度の2224%の目標に向けて進んでいます。しかし、日本の2019年度の18%という数値は、中国の25.5%よりも低く、イタリア(39.7%)・スペイン(38.2%)・ドイツ(35.3%)・イギリス(33.5%)などヨーロッパ諸国と比較すると約半分ほどしかありません。(出典:資源エネルギー庁:日本のエネルギー2020、日本のエネルギー2019

日本政府はグリーン社会の実現に向けて、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現を目指す」と宣言し、資源エネルギー庁は、エネルギー政策の推進において、再生可能エネルギーを最大限導入する、長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換する、としています。(引用:首相官邸ウェブサイト: グリーン社会の実現)

また、2021422日、米国主催による気候サミット「Leaders’ Summit on Climate」において、菅総理大臣は、2050年カーボンニュートラルに向けて、2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減することを目指すと宣言しました。(引用:外務省:菅総理大臣の米国主催気候サミットへの出席について(結果概要))
これにより、再生可能エネルギーの導入は、さらに加速すると思われます。

企業・団体では、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者:一定以上の温室効果ガスを排出する事業所を所有する事業者などが対象)は、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが義務付けられています。(出典:引用:環境省ウェブサイト:温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度)
また、日本企業では、RE100(*)に加盟し、将来的に自社が使用する電力すべてを再生可能エネルギーに転換することを宣言し、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に貢献する企業が増えてきました。
(*)RE100:企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ(出典:環境省ウェブサイト:環境省RE100の取り組み)

SDGs 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

持続可能な再生可能エネルギー/会場電力の調達の課題

会議やイベントなどMICEMeeting(会議・研修)、Incentive (報奨)、Convention(国際会議・学会)、ExhibitionまたはEvent(展示会・イベント))開催においては、期間が長く、参加者人数も多く、大規模な会場や複数会場を使うなど、全体のMICEの規模が大きくなれば、その分、電力を消費します。2018年度の電源構成では、日本の主力電力は、38%の天然ガスや32%の石炭による火力発電のため、CO2の排出量は再生可能エネルギーと比較して多くなっています。(出典:資源エネルギー庁ウェブサイト:「法制度」の観点から考える、電力のレジリエンス⑤再エネの利用促進にむけた新たな制度とは?)

このため、会議・イベント開催の会場の電力は、通常、この主力電力である火力発電の電力を使用しており、環境に負荷を与えています。もし、会場が再生可能エネルギーを使用している場合は、枯渇しない資源を使用し、CO2排出量を削減でき、環境にやさしいエネルギーの調達をしていることになり、持続可能な会議・イベント開催の実施ができます。しかしながら、現在、会議・イベント会場においてこの再生可能エネルギーを使用しているところは限定的であり、会議・イベントの内容や規模よっては、その限定的な会場を利用することが適当ではない場合が多くあります。

会場や施設において、再生可能エネルギーを使用しない主な原因を伺うと、「割高な料金」、「そもそも再生可能エネルギーを大量に仕入れできない」が理由とのことです。再生可能エネルギーの発電コストが下がり、供給量が増加するのを待つだけではなく、現在、企画・運営会社として「JCDが今できることは何か」を追求し、新たな付加価値提案として、「CO2ゼロMICE」を企画しました。

持続可能なエネルギーの提供:新たな付加価値提案「CO2ゼロMICE」

JCDでは2018年より、観光関連事業者を中心に電力供給事業をしています。そのノウハウと経験を活かし、会議・イベントのイベント主催者や会場が、拠点となる会場(*1)で使用した電力の一部をカーボンオフセット(*2)してCO2の排出量を削減する、または、カーボンニュートラル(*3)のようにCO2の排出量をすべて相殺してゼロにすることができる申請代行を通じて、環境価値のエネルギー提供を開始します。これにより、会場・施設の運営会社やイベント主催者は、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成への貢献や、温対法による温室効果ガス削減義務として報告ができ、社会的責任ある企業・団体としての意義のある行動をとることができます。

なお、JCDは近い将来、電気価値のある再生可能エネルギーの供給もできるよう、体制を整えてまいります。

(*1)拠点となる会場に限定している理由:オンラインイベントの場合は、視聴者のPC電力使用量のトレイスが難しいため、現時点では中継拠点など含む、拠点となる会場を使用し、電力使用量が計算できることを前提としています。

(*2, 3)カーボンオフセットとは、途上国などにおける排出削減プロジェクトからのクレジットを購入することなどにより、自らが排出している温室効果ガスを相殺すること。排出量の一部を相殺することをカーボンオフセット、排出量のすべてを相殺することをカーボンニュートラルという。(出典:カーボンオフセット:WWFウェブサイト)

CO2ゼロMICEとは

JCD CO2ゼロMICE

▼詳しくは「CO2ゼロMICE」の仕組みをご覧ください。
▼「CO2ゼロMICE」ニュースリリースはこちら

イベント活用事例①:「CO2ゼロMICE」による、CO2排出量の削減に貢献

JCDでは、2021年2月にVAIO株式会社様の新商品発表会の企画・運営を行いました。VAIO様は、エコアクション21(*)を取得しており、環境配慮について特に積極的に取り組んでいました。そこで、JCDは、コロナ禍で開催形式がリアルから「オンライン発表会」に変更になった際、オンライン発信拠点の総電力量を算出し、CO2の排出量をすべて相殺してゼロにすることを提案し、実行致しました。これにより、主催企業は、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成へ貢献することができました。

SDGs 7 and 13

(*)エコアクション21:環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価及び環境報告をひとつに統合したもの (出典:環境省ウェブサイト:エコアクション21)
▼【ハイブリッドイベント事例】VAIO株式会社様 新商品発表会はこちら

CO2ゼロMICE」を遂行する上で、特に重要となるのが、イベント会場側の協力です。JCDでは会場施設との密なやり取りを通じて、「CO2ゼロMICE」を実現しています。
「CO2ゼロMICE」を導入したイベント会場との対談コラムはこちら

イベント活用事例②:省エネや節電によるエネルギー使用量の削減に貢献

多くの会場施設ではすでにLED電球は使用されています。会議・イベント開催会場へ持ち込む照明もLED電球にし、同様に持ち込む電気機器も省エネ電気機器を使用することで、節電や省エネによる総エネルギー使用量の削減ができます。また、会場の空調温度は適正を保ち、リハーサル時は、使用しない会場の電気を消灯し、可能であれば会場の照明の減灯なども行うことで、更なる総エネルギー使用量の削減ができます。

省エネ

このように会議・イベントを運営する際の仕入れは、サプライヤー/ビジネスパートナーの選択と協力により、すぐに取り組める事例は多くあります。

MICE業界においては、「持続可能性」が推進されており、今後、主催する企業・団体は、MICEサステナビリティを意識した企画・運営が求められるようになります。そのためには、しっかりとした持続可能な調達方針を定めておく必要があり、JCDはその方針をもとに調達基準・運用方法から提案し、実施してまいります。

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