環境に配慮したSDGs・イベント事例:具体的な取り組み④

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会議やイベントの企画・運営を手がけるJTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、主催者である企業・団体のSDGsの達成に向けた取り組みへの支援を行っております。「経済的」「文化社会的」「環境的」視点において、専門的な知識を有するスタッフが様々な企画や運営をサポートすることで、企業・団体の担当者様とともにMICE サステナビリティを推進しています。

JCDが「SDGs視点から」支援した、サステナブルイベント開催における具体的な取り組み事例を、対談形式にて紹介します。


事例:帝国ホテル東京主催、サステナブルイベント開催に向けて

サステナビリティ イベント 対談


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株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課長  池本 知恵紀 氏

株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課 支配人  渡邉 雅則 氏

株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課 マネージャー  川崎 宏輔 氏

総合企画部 サステナビリティ推進局 石毛 照栄

Sustainable Event Professional Certificate (SEPC) 取得 Issued by Events Industry Council

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石毛/帝国ホテルは、年次サステナビリティレポートやサステナビリティ推進活動についてもHPで公開しており、SDGs達成に向けて貢献している代表的なホテルの1つです。JCDは今回、帝国ホテル営業部が法人顧客向けに開催した「周年セミナー」におけるサステナビリティ視点での料飲メニュー開発と、宴会を通じてSDGsの取り組みに貢献しているホテルとしての訴求力を上げるための支援をいたしました。まず、20223月に主催した「周年セミナー」について教えてください。


開業130年を迎えた帝国ホテルだからこそ、周年を迎える企業様に選ばれるホテルへ

池本氏/帝国ホテルは2020年、開業130年を迎えました。長い歴史の中で節目ごとに時代と向き合い、自らのありようを見つめ直し続けてきました。ちなみに130周年の際のスローガンは「歴史にふさわしく、未来にふさわしく」です。今回は、それぞれに自社の未来をお考えの法人企業の皆様向けに「改めて考えたい “集い”のチカラ ~帝国ホテル東京 周年セミナー~」と題し、周年催事をご検討中のご担当者様をお招きして宴会場(富士の間)にてセミナーを開催いたしました。オープニングでは、帝国ホテルが激動の時代と共に変化し続け、新たな価値を生み出してきたその歩みを皆様にご紹介をしました。当社の歩みをご覧いただくことで、各社様にも「いままで」と「これから」に想いを馳せていただき、そして帝国ホテルをその節目を刻む舞台としてご検討いただきたいと考えての演出です。


サスティナブルイベント事例 池本

株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課長  池本 知恵紀 氏

「周年」という節目は単なる記念日ではなく、各方面へ感謝を表明する機会であり、同時に新たな成長の起点、飛躍のきっかけともすべきイベントだと考えております。そこで、様々な周年の集いをお手伝いしてきた営業部のメンバーから、開催事例や最近の変化などについて3部構成でご紹介しました。

・第1部:周年式典の変化や傾向、感染症対策をはじめとした安全・安心への取り組みについて

・第2部:双方向コミュニケーションのツールを使用し、皆様からの質問や関心事へのお答え

・第3部:最近多くのお客様からご相談を頂く「サステナビリティ」への取り組みについて

 

川崎氏/ 第1部となる「周年式典の変化や傾向」については、BeforeコロナとWithコロナにおける企業様のご要望の変化と対応をご紹介し、この2年停滞していた「周年イベント」が、今どのように動き始めているかを、帝国ホテルの過去の開催実績と今後の予約状況からご紹介しました。また、「感染症対策をはじめとした安全・安心への取り組み」については、帝国ホテルで取り組んでいる感染症拡大防止対策ならびに国際的な衛生基準を満たした施設であることを証明するGBAC STAR™認証*を取得についてご紹介し、安心してイベントが開催できることをお伝えしました。

そして、第2部「双方向コミュニケーション」では、コロナ禍においてネットワーキングを行いたくても、行いにくいというお客様の課題に対して、双方向コミュニケーションが可能なWebアプリを活用することで、お客様とのコミュニケーションをリアルタイムで楽しめる催事進行のデモンストレーションを行いました。


サスティナブルイベント事例 川崎

株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課 マネージャー  川崎 宏輔 氏

*GBAC STAR™認証とは:世界的な洗浄業界団体である国際衛生供給協会(International Sanitary Supply Association (略称:ISSA)において洗浄、消毒および感染症予防のプロトコールを実施する施設の運営基準を提唱している部門、Global Biorisk Advisory Council (略称:GBAC) による国際的認証プログラムの条件を満たした施設に対し、付与されるものです。(出典:帝国ホテルウェブサイト)

サステナブルイベント「周年セミナー」を通じたSDGsの具体的な取り組みと付加価値の創出

■サステナブル料理メニュー

石毛/バンケットシェフである杉本氏と、持続可能な社会を意識した際に、メニュー開発に取り入れるべきサステナビリティへの視点や、食材の調達コードなど、重要なキーワードをもとに意見交換をさせていただきました。杉本シェフはフランス料理の精神として、「食品の恵みを最大限に活かし、無駄なく使い切る」ということがベースとなっていることから、日頃より食材を巧みに使用されて、フードロス対策についても問題なく対応されておりましたね。また、どうしても活かしきれなかった食材や残飯などはコンポスト化して、その肥料から育てた野菜を従業員食堂で使用していると、一部の野菜は上手にサーキュラー(循環)している点についても伺いました。



池本氏/食に関するサステナビリティへの取り組みは、ホテル全体にとっても、周年をはじめとした「集いの場」である宴会場における飲食の提供にとっても欠かせない重要な要素です。そこで今回の「周年セミナー」では、お料理を通じたサステナビリティへの取り組みについて、バンケットシェフの杉本よりプレゼンテーションをいたしました。料理の作り手からの発信は、実感のこもったものでご来場の方からも大変好評でした。

渡邉氏/今回はコロナ禍での開催のため、サステナブル料理のフルコースメニューの提供は叶わなかったのですが、一部でも体験していただこうと「サステナブルデザート」を開発し、ご提供致しました。帝国ホテルの宴会場で提供する温かいコーヒーや紅茶はすべて、持続可能な食材調達に貢献する「レインフォレスト・アライアンス認証*」へ202111月から切り替えています。特に宴会場で提供するコーヒーは、スムースなオペレーション上、一定数量を用意しておく必要があるため、今回はそのコーヒーを利用し、バンケットシェフ杉本監修のもと、フェアトレード認証の高級チョコレートや乳製品ともコラボして、ティラミス(商品名:TERRA-misu Sympatic)を開発しました。これにより、一定数量を用意しているコーヒーのフードロス対策にも貢献することができました。

サスティナブルイベント事例 渡邉

株式会社帝国ホテル 営業部 販売企画課 支配人  渡邉 雅則 氏



サステナビリティ イベント 料理 デザート

レインフォレスト・アライアンス認証のコーヒーと、フェアトレード認証のチョコレートで創作したティラミス

石毛/サステナブル認証商品を組み合わせて「エシカル」×「ラグジュアリー」を目指したデザートとしての新たな商品を生み出し、素晴らしいSDGsの取り組みの1つとなりました。お客様へ提供するデザートですから、美しく品のある見た目(表現)だけでなく、味ももちろん保証付きです。イベントに来場されていたお客様はもちろん、私も大変美味しくいただきました。


*レインフォレスト・アライアンス認証とは:自然を守り、生産者の労働環境を守る持続可能な農法を行っている農園に与えられる認証。(出典:帝国ホテルウェブサイト)

■サステナブルなステージ制作:会場装飾

石毛/会場装飾は主催者である企業や団体のブランディングに深く関係するため、インパクト重視で華美なもの、また、そのイベントのためだけにオリジナルで制作されることが多くあります。比較的大型な制作物といえば、受付やステージ周辺です。これらの制作/装飾物は、多くの資源を使用するため、環境に負荷をかけています。今回のイベントにおいては、ビジネスパートナーが保有する環境にやさしい「onefabricatm」を採用しましたね。

川崎氏/周年イベントは他のイベントに比べて、大型の制作物が多い傾向があるため、その分、多くの資源を消費し、環境に負荷をかけてしまう場合があります。「onefabricatm」は「空間づくりの常識を変える」をコンセプトに、ユタカ株式会社がアメリカの工法を国内向けに開発したサステナブルな装飾工法です。主要素材はすべてリサイクルが可能で、撤去時に廃棄物を出しません。また、表面のファブリックを差し替えれば、雰囲気を変えての再利用が可能ですので、環境負荷が大幅に軽減されるため採用しました。

サステナビリティ イベント 対談 現場

■サステナブルなテーブル演出:卓上装花

石毛/イベント会場を華やかに演出するために選択される素材の1つが、「生花」です。しかし、生花は、農作物と一緒で季節変動に左右されやすく、水を大量に使用します。生育状況によっては温室を人工的に温めたり、逆に冷やしたりする必要があり、また外国から輸入される種類も多いため、温室効果ガスを多く排出します。そのため、生花を大量にイベントで使用すると、環境へ負荷をかけることになります。また、切り花の寿命は短いため、特に会議・イベント開催終了後は、ほとんど廃棄されていることも課題です。そこで、帝国ホテル東京内装花業者にも打合せに同席いただき、テーブル演出の生花について議論させていただきました。大きなポイントとしては、水の使用量の削減と、再利用できる素材の選択です。

川崎氏/帝国ホテル東京 宴会パートナーであるゴトウフローリストでは、実は業界の先駆けとして、販売は出来ないが観賞用として使えるお花については廃棄をせず、病院や教会等にお届けする取り組みを20年以上続けています。そのため、「周年セミナー」におけるテーブル演出においても、SDGsの達成に貢献ができるサステナブルな取り組みをしたく相談したところ、快く一緒に取り組んでいただけることになりました。とはいえ、水の使用量を抑え、再利用できる素材だけでというのは初の試みでしたので、試行錯誤を繰り返しながらの制作となりました。ゴトウフローリストのこれまでの取り組みと経験を活かし、お客様に販売することが出来ないお花を一度乾燥させて、ドライフラワーとして蘇らせ、水を使用せず自然素材の苔による保水、毎年楽しんでいただけるよう球根植物を使用し、「再生・誕生・成長」をテーマに華やかに表現していただけました。

石毛/試作品を改良されて、また花瓶はガラスに変更されたことにより、イベントテーマと会場雰囲気に合う、晴らしい卓上装花でしたね。LED照明を使ったローソクの演出も見事でした。球根は毎年開花=再生するので、イベント開催後お持ち帰りされた参加者は、卓上生花のテーマへの理解や、実際の花の生育を通じて、環境負荷への取り組みに対する意識醸成につながったと思います。

▶MICEサステナビリティ: SDGsの 取り組み イベント事例:調達③:制作/装飾関連

ゴトウ花店

帝国ホテル東京 宴会ビジネスパートナー:ゴトウフローリストによる演出

■サステナブルな会場電力:

石毛/会議やイベント開催においては、期間が長く、参加者人数も多く、大規模な会場や複数会場を使うなど、全体のMICEの規模が大きくなれば、その分、電力を消費します。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、商業ビル、ホテル、コンベンション会場においても再生可能エネルギーを使用することが少しずつ進んでおりますが、通常電力費用と比較して「割高な料金」であったり、「そもそも再生可能エネルギーを大量に仕入れできない」という課題もあります。JCDは、再生可能エネルギーの発電コストが下がり、供給量が増加するのを待つだけではなく、現在、企画・運営会社として「JCDが今できることは何か」を追求し、新たな付加価値提案として、「CO2ゼロMICE」を企画しました。

▶MICEサステナビリティ:持続可能な取り組み事例:調達②:エネルギー:会場電力関連とCO2ゼロMICE

帝国ホテル東京も、宴会など会場で使用する電力については、グリーン電力を使用したとみなすことができる、「グリーン電力証書」を発行されていますね。

池本氏/今回、会場で使用した電力には「グリーン電力」を使用しました。帝国ホテル東京では、事前にお申込みいただくことで、グリーン電力証書の発行もできます。証書の発行により、主催者の地球温暖化対策に向けた取り組みだけではなく、イベントに参加者した方々にとっても、イベント単位で地球温暖化対策に向けた取り組みをわかりやすく可視化し実感していただくことができます。そしてイベントに参加することで参加者自身が環境負荷軽減に向けて考える機会を創出することにもつながりますので、このような取り組みを地道に継続して行うことは必要なことだと思っています。

石毛/会議・イベントの主催者は、「グリーン電力証書」の購入を通じて、サステナブルな会議・イベントに「すぐに」取り組むことができ、また「温対法による温室効果ガス削減義務」としても報告ができ、社会的責任ある企業・団体として意義のある行動をとることができますね。

サステナビリティ イベント 対談 CO2

サステナブルイベント「周年セミナー」を通じた社会貢献活動

石毛/帝国ホテルグループとして様々な社会貢献活動をされていますが、その1つが、「TABLE FOR TWO*」ですね。また、帝国ホテル東京は、地域への社会貢献として日比谷公園と協同し管理を行っています。今回、主催者企業・団体が「会場である帝国ホテルで開催する会議・イベントを通じて」どのような社会貢献活動ができるのかについて、議論させていただきました。例えば、寄付活動1つにおいても、寄付先となる団体においては日本・海外と多く存在していますので、主催企業・団体のサステナビリティ方針に沿って、環境貢献・文化社会貢献・地域経済貢献など「貢献目的」を明確にし、それを達成するには「どの団体」と連携するべきなのかということです。

*TABLE FOR TWO :世界規模で起きている食の不均衡を解消し、加発途上国と先進国の人々の健康を同時に改善することをミッションに活動。(出典:TABLE FOR TWO ウェブサイト)

池本氏/当社では20175月から、食を分かち合い、食の不均衡を解消するための寄付プログラム「TABLE FOR TWO」の取り組みを従業員食堂にて実施しておりますが、2021年より、ウエディングにおいてお客様と共に取り組むプログラムとして、新たに寄付が組み込まれたメニューを発売いたしました。「TABLE FOR TWO」を直訳すると「二人のための食卓」、そして分かち合うというコンセプトも結婚という節目にぴったりです。このプログラムでは、披露宴冒頭のメニューにヘルシーで華やかなオードブルをお選びいただくことで、ご列席人数分の給食を子供たちに贈っています。「幸せが倍になる」ご結婚の門出にふさわしくご招待客全員で参加できる取り組みです。法人向けのセミナーではご紹介できませんでしたが、IMPERIAL WEDDINGSではキーメッセージを定め これからも取り組み続けていきます。

サステナビリティ イベント 対談 結婚

石毛/TABLE FOR TWOの取り組みは素晴らしいです。その取り組みを、帝国ホテル東京の拠点である東京地域でも実施することはできますね。例えば、都内の子ども食堂への金銭の支援や、余剰食材の提供です。海外では、余剰食材を調理して、子どもに限らず必要としている方々へ無料で提供するイベント等を定期的に開催しています。また、食材に限らず、会議・イベント開催においてオリジナルで制作した制作/装飾物を必要とされる公的施設や福祉施設へ寄付することも社会貢献活動につながります。

community

持続可能性(サステナビリティ)/SDGsの取り組みにあたり、MICE業界での課題と対策とは

石毛/今回、「イベント会場として自ら」サステナブルデザート開発から装飾、卓上演出など、SDGsの達成に向けて様々な、そして素晴らしい取り組みをされました。主催する企業・団体と共に、さらにMICEサステナビリティを推進するにあたり、どのような課題があると思いますか。またその対策はどういったものでしょうか。

川崎氏/今回の周年セミナーを通じたSDGsの取り組みについて、参加した企業様への事前調査で多かったのは、「興味はある。しかし『最優先事項ではない』」でした。ところが、セミナー終了後のアンケート回答において、今回のセミナーで最も関心が高かった内容は、バンケットシェフ杉本による「サステナビリティへの取り組みについて」でした。その回答の背景には、SDGsのゴールが多岐にわたることから、MICEを開催する主催者様は、何を取り組めばよいか、どのように取り組めばよいか、という点が分かりにくいことがあるのかもしれません。MICEは主催者様・プランナー・イベント会場など、関わる方々と共にイベント空間をつくるという特徴がありますので、今回のように「食」という切り口や「エネルギー」という切り口など、主催者様のご意向に沿って的を絞ったご提案ができれば、お客様は取り組みやすくなると思います。

また、相反するように思われる「サステナビリティ」と「ラグジュアリー」を、どのように両立し、表現できるかも課題と捉えております。以前は「ラグジュアリー」で非日常の体験ができることが、お客様の満足度を高める要素だったかもしれませんが、今後は「サステナビリティ」に配慮されていることが前提となり、その上で「ラグジュアリー」を感じられることが大切であると考えております。ホテルとしてできることから、少しずつ取り組む内容を増やし、お客様のご要望に沿った「サステナビリティ」と「ラグジュアリー」の両立をご提案できるよう準備をすすめております。

石毛/会議・イベント開催において「持続可能性」が推進されており、主催する企業・団体は、MICEサステナビリティを意識した企画・運営が求められています。JCDは今回、イベントの企画・運営会社という立場ではなく、帝国ホテル東京主催の周年セミナーにおける「サステナビリティ視点での料飲メニュー開発」と、宴会を通じて「SDGsの取り組みに貢献しているホテルとしての訴求力を上げる」ための支援を、帝国ホテル東京のビジネスパートナーと共に取り組みました。今後もステイクホルダーの方々と取り組み事例の共有や、知見の向上を支援しながら、MICEサステナビリティ/SDGsの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

帝国ホテル東京/富士の間

今回実施の周年セミナーの会場となった「富士の間」。エスカレーターを降り、広々とした前室を進んだ先に現れるのは、豪華なシャンデリアが煌めく格調高い空間。ここ「富士の間」は、エリザベス女王陛下をお招きする午餐会でも使用された。過去には、世界最大規模の国際会議の舞台にもなった同会場は、企業の節目を祝う周年イベントや顧客招待会、新商品発表会等さまざまな主旨でご利用いただけます。

100-8558 東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL: 03-3504-1111 


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