MICEサステナビリティ:環境に配慮したサステナブル・イベント事例:SDGsの取り組み②

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会議やイベントの企画・運営を手がけるJTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、主催者である企業・団体のSDGsの達成に向けた取り組みへの支援を行っております。「経済的」「文化社会的」「環境的」視点において、専門的な知識を有するスタッフが様々な企画や運営をサポートすることで、企業・団体の担当者様とともにMICE サステナビリティを推進しています。

JCDで担当した、持続可能な会議・イベント開催における具体的な取り組み事例を対談形式にて紹介します。

事例:持続可能な商品発表会:SDGsの取り組み:CO2排出量をゼロに

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【イベント会場】
東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオ(運営会社:株式会社インフィールド)
初瀬 広壮 氏


【担当者】
コーポレートソリューション部 ミーティング&イベント第三局 山川 剛


【CO2ゼロMICE担当】
事業共創部 ソーシャルビジネス局 大橋 一也


【聞き手】
コーポレートソリューション部 プロデュース局 石毛 照栄

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持続可能な会議・イベント実施に向けた新たな付加価値提案「CO2ゼロMICE」と賛同する企業の理由とは

石毛/海外市場はもとより、日本市場でも、会議・イベント開催において「持続可能性=サステナビリティ」が推進されており、主催する企業・団体は、「持続可能な=サステナブル」企画・運営が必要となってきました。JCDも、MICEサステナビリティを推進する上で、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の徹底、ごみの削減、飲食調達コードの策定など、SDGsの達成に向けて様々な取り組みを行っています。今回、JCDは会場の電力調達コードに関係し、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、「SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献できる、新たな付加価値提案「CO2ゼロMICE」を開発しました。開発した背景と目的について教えてください。

SDGs 7 and 13

「CO2ゼロMICE」とは

大橋/近年の世界的な気候変動による被害も多発しており、気候変動対策における脱炭素社会の形成は必須で、今や急務になっています。中でも旅行・観光のCO2排出量は世界全体の1割を占めると言われており、JTBグループでMICE(ミーティング・コンベンション・各種イベント・展示会・学会・国際会議など)事業を有するJCDとしても特に取り組むべき社会課題の1つと考えております。

JCDでは2017年より、観光関連事業者を中心に電力供給事業をおこなっており、そのノウハウと経験を活かし、脱炭素社会やSDGsの達成に向けた積極的な取り組みとして「CO2ゼロMICE」を開発しました。この付加価値提案であるCO2ゼロMICEを通じて、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、「SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成への貢献だけではなく、企業・主催者様の「温対法による温室効果ガス削減義務」として報告ができ、社会的責任ある企業・団体としての意義のある行動をとることができます。

この「CO2ゼロMICE」は、再生可能エネルギーを起源とした環境価値(*)を証書化して流通させる仕組みである「グリーン電力証書システム」によって、他からその環境価値を購入することでCO2を排出されない再生可能エネルギーと同等の電気に置き換えることができる「カーボンオフセット制度」を利用しています。

会場施設において再生可能エネルギーの導入には、莫大な費用も掛かることもありハードルが高いですが、カーボンオフセット制度であれば、イベントごとのスポット利用が可能で、また流通性もあることから、ご利用機会に応じて柔軟に対応ができるなどのメリットがあります。

(*)環境価値とは:化石燃料や原子力など、従来のエネルギーからの電力と、再生可能エネルギーからの電力は「電気」としては同じものです。しかし、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーによる電気はグリーン電力と呼ばれ、「電気や熱そのものの価値」の他に、二酸化炭素を排出しないという「環境価値」を持っています。(出典:東京都環境局:環境価値とは)

 ▼関連コラム:持続可能なエネルギー調達とは:電力調達コードと「CO2ゼロMICE」

石毛/会議・イベントの主催者は、「CO2ゼロMICE」を通して、サステナブルな会議・イベントに「すぐに」取り組むことができ、また「温対法による温室効果ガス削減義務」としても報告ができ、社会的責任ある企業・団体として意義のある行動をとることができますね。

JCDとして初めての「CO2ゼロMICE」実績については、積極的に環境負荷の軽減に取り組んでいる主催者様と共に取り組みたく、すでに新商品発表会の企画運営を受注していた某電子機器メーカー様の公開情報「環境配慮への取り組み」に注目しました。この企業様は、エコアクション21(*)を取得されており、環境経営方針において、「CO2排出量の削減」、「グリーン購入・調達を継続実施」などを宣言しています。JCDから今までにない、新たな提案をしたとき、企業様の反応はいかがでしたか。

(*)エコアクション21:環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価及び環境報告をひとつに統合したもの (出典:環境省ウェブサイト:エコアクション21)

 

 山川/今回、JCDとして初提案である「CO2ゼロMICE」は、すでに受注している新商品発表会で、プログラム内容もある程度確定している段階においての追加提案となりました。この提案は主催企業様にとってSDGsの達成に貢献できるメリットはありますが、実施するには企業様やイベント会場様より、更なるご協力が必要となります。開催に向けて準備を進めているこのタイミングでの付加価値提案に対して、どのように思われるのかと、正直、不安に思っていましたが、「CO2ゼロMICE」の取り組む目的と意義についての説明を丁寧にさせていただきましたところ、すぐに前向きなお返事を頂けました。主催企業様がエコアクション21に取り組んでいたということもありますが、積極的に環境負荷軽減に向けて取り組もうとする企業様が、実際に増えてきていると感じました。

「CO2ゼロMICE」を遂行するには電気総使用量を算出する必要があり、イベント会場様のご協力は不可欠です。そこで、新商品発表会の会場となる、東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオの初瀬様(運営会社:株式会社インフィールド)へもご提案させていただきました。

SDGs取り組み事例はこちら:新製品発表会 と「CO2ゼロMICE」

 

石毛/JCDから新たな付加価値提案「CO2ゼロMICE」を、どのように思いましたか。また、今回、ご賛同・ご協力いただけた理由を教えてください。


初瀬氏/東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオを運営する株式会社インフィールドは、ビルオーナーである東急不動産様が、サステナブルな社会と成長を実現するため、SDGsの達成への貢献に向けて様々な取り組みをしていることは知っていました。例えば、東京ポートシティ竹芝では、都市の緑化や、オールジェンダートイレ(誰でも使えるトイレ)の設置などです。
東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオを運営する私たちも同様に、ウェルネスをテーマにしたイベントの実施など、SDGsの達成に貢献できる主催者様と連携し、一緒に取り組んできました。施設運営会社として、MICEサステナビリティを推進したいと思っていたので、「CO2ゼロMICE」の付加価値提案をいただいた時、ぜひ取り組んでみたいと思い、JCDより詳細説明を受ける際には、東急不動産様にもご同席いただくよう、調整をいたしました。

東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオ 
運営会社:株式会社インフィールド 初瀬様
 

石毛/日頃より、主催企業様、ビルオーナー様、施設運営会社様において、SDGsの達成に向けて様々な取り組みをなさっていたからこそ、「CO2ゼロMICE」の付加価値対案に対してご賛同・ご協力を得ることができました。「CO2ゼロMICE」を実行するにあたい、具体的な手順はどのようになりますか。

 

大橋/具体的には、主催者様、及び会場様より以下の情報提供をいただきます。
主催者様から頂く情報:イベント情報のご提供
 ・イベント名
 ・開催日
 ・本番時間
会場様から頂く情報:イベントの電気使用量算出のためのご提供
 ・建物全体の月電気使用量
 ・建物全体の延べ床面積
 ・使用する会場面積(今回は東京ポートシティ竹芝のポートホール(ホール+ホワイエ)、ポートスタジオ)

上記の情報提供から、電気事業のノウハウを通じてイベントの電気使用量を次の方法にて算出します。
イベントの電気使用量=(建物全体の月電気使用量÷月歴日数÷時間係数)×(会場面積÷建物全体の延床面積)×本番時間
このように、電気使用量の算出においては、会場様からの情報提供がとても重要です。その後、JCDにおいて電力使用量の算出をし、イベント開催前に主催者様に対して「グリーン電力証書」を発行します。

 

初瀬氏/JCDからの依頼に対応するため、東急不動産様より情報提供をいただく必要がありました。CO2ゼロMICE提案の説明時にご同席いただいたこともありますが、東急不動産様は、すでに再生可能エネルギー事業の展開や、RE100(*)に加盟してCO2削減に取り組んでいることもありましたので、CO2ゼロMICEの取り組みにご理解いただけ、情報提供はスムースにご対応していただけました。

(*)RE100:企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ(出典:環境省ウェブサイト:環境省RE100の取り組み)

会場におけるMICEサステナビリティ推進

石毛/情報提供について、早急にご対応いただきましたおかげで、無事、イベント開催前に、主催企業様に対してグリーン電力証書を発行することができました。
CO2ゼロMICE」に取り組むだけでなく、東京ポートシティ竹芝 ポートホール/ポートスタジオは会場施設として、さらにMICEサステナビリティを推進されたいと、いろいろお話をさせていただきましたね。

 

初瀬氏/東京ポートシティ竹芝ポートホール/ポートスタジオで使用される電気をCO2排出がゼロの再生可能エネルギーに置き換えるだけでなく、他にも取り組めることがあると思い、実行に移し始めております。
例えば、来場者や控室のゲストに提供するコーヒーは、高品質・美味しさに加え、環境に配慮した栽培方法でトレーサビリティ担保されている、パプアニューギニア・エリンバリ農園で作られたコーヒー豆を採用しました。無農薬、無化学肥料という栽培方法は手間がかかりますが、地球環境を保全しつつ持続可能な農業生産を通じて、発展途上国における農業生産力の向上や人材育成・教育にも寄与されており、このコーヒー豆を購入することで、間接的ではありますが「SDGs目標2:飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進」、「SDGs目標4: すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」の達成へ貢献を支援しています。

また、コロナ禍においては、会場の控室など、特に狭い部屋の換気が課題となっていたので、最新の光触媒式空気洗浄機の導入を検討しており、会場で実証実験中です。ウイルス除去が期待でき、空気が汚染されていない会場や控室を提供することは、「SDGs目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」の達成に貢献ができ、主催者様、参加者様、イベントサプライヤー様の健康を守ることに繋がります。このような取り組みは、今後必須になっていくのではないかと考えております。

持続可能性(サステナビリティ)/SDGsの取り組みにあたり、MICE業界での課題と対策とは

石毛/サステナブル商品を購入・使用することで、直接的・間接的にSDGsの達成への貢献につながりますね。しかしながら、積極的にSDGsの取り組みをされている会場施設はまだ多くはありません。MICEサステナビリティをさらに推進するにあたり、どのような課題があると思いますか。またその対策はどういったものでしょうか。

 

初瀬氏/SDGsはみんなが知っている言葉ですが、SDGsの取り組みとは何かについて真に理解して、実際に行動している個人・企業は、まだまだ少ないのではと思います。施設運営会社は、会場を拠点とした「コトづくり」を大事にしていますので、例えば、イベント会場からSDGsの取り組みへの理解を深めていただける情報を発信することで、社会全体のSDGsの取り組みに対する機運を高められればと思っています。

プロジェクト型などのイベントでは、イベント会期中はSDGsの取り組みはしているものの、イベント終了後、その取り組みも終わってしまうといったことが多々あります。また、KICK-OFFなどのインナーイベントにおいては、社としてのサステナビリティ方針を決定し、SDGsの達成への貢献を宣言したものの、コロナ禍においてSDGsの取り組みの優先順位が低くなってしまい行動に起こせないでいる事例があります。企業としての経営方針によるものではありますが、SDGsの取り組みは、一過性で終わらず、持続しなければならなりません。SDGsの取り組みは、貢献できるゴールの個数や取り組みの深度(高いゴール設定)に関わらず、できることから取り組んでも良いという、風土作りも必要だと思います。

私も含めMICE業界においても、SDGsの取り組みへの理解と浸透は十分ではありません。施設運営会社は、主催企業・団体、イベント企画運営会社、イベントサプライヤーのネットワークがありますので、主催企業が抱えている課題を、別の企業が解決できるのではと思った場合は、その企業同士を「つなぐ」ことをしています。たとえ競合他社であったとしても、SDGsという社会全体で取り組むべき目標において方向性は一緒ですから、協業・協力できると思います。この「つなぐ」取り組みによって、MICE業界におけるサステナビリティを推進していきたいと思います。

 

大橋/会場施設様と環境負荷軽減についてお話すると、SDGsの認識や取り組みに対して施設様ごとにかなりの温度差があり、また、他社の動向によって自社の取り組み方を判断されるという傾向があります。自社の取り組みに対して自信を持てないのは、知見の差ではないでしょうか。「CO2ゼロMICE」を通じて環境負荷低減を推進する立場としては、積極的なMICEサステナビリティ/SDGsの取り組みに関する啓蒙活動が重要と思っています。例えば、説明会や勉強会を通じて知見を向上するお手伝いをして、取り組み実践として、「CO2ゼロMICE」のご利用機会が増えれば、環境への取組みは常識になっていくと思います。

 

山川/日々の営業を通じて感じることは、企業・団体のお客様もSDGsの達成に向けて、何かしらの取り組みやアクションを起こさなければならないという課題感を持っていますが、実際、どのように取り組めば良いのかわからないと、悩んでいる担当者様が多くいるということです。JCDとしての付加価値提案である「CO2ゼロMICE」や、脱プラや3Rの徹底のように、会議・イベントを通じて「すぐに」取り組めるものもあります。SDGsの達成に向けての取り組みは、企業・団体様の社会的責任ある行動にもつながりますので、今後も会議・イベント主催者様の課題を解決できるような提案を積極的に行っていきたいと思います。

 

石毛/会議やイベントの企画運営会社であるJCDは、MICEサステナビリティやSDGsの取り組みを推進するための付加価値提案の1つとして、「CO2ゼロMICE」を開発しました。その目的と意義にご賛同いただけたイベント会場様と対談を通じて、社会的責任ある企業・団体としてSDGsの取り組みに積極的な主催者様と、取り組みたいけど実際にどうしたらよいかと悩んでいる主催者様など、サステナビリティ/SDGsの知識や取り組み姿勢に、かなりの差があることを改めて実感しました。今後も、会議やイベントの企画段階から、主催者様やイベント関連会社様に対して、取り組み事例の共有をすることで知見の向上を支援しながら、主催者様に対しては積極的なMICEサステナビリティ/SDGsの取り組みについて提案をして、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。


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東京ポートシティ竹芝ポートホール/ポートスタジオ

国際ビジネス拠点へと生まれ変わる竹芝の新たなランドマーク、「東京ポートシティ竹芝」。
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