MICEサステナビリティ:環境に配慮したサステナブル・イベント事例:展示会:SDGsの取り組み③

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JTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、会議やイベントの企画・運営だけでなく、ビジネスマッチングのプロフェッショナルとして、最先端の技術から様々な産業分野の発展のために、トレンドや課題を的確にとらえた「ビジネスに直結する」展示会を主催・共催しています。「経済的」「文化社会的」「環境的」視点において、専門的な知識を有するスタッフが様々な企画や運営をすることで、主催者としてもMICE サステナビリティを推進しています。

2021年10月、JCDは「展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて」をテーマにウェビナーを開催しました。展示会の現状やトレンド、具体的な取り組みを登壇者との対談形式にて紹介します。



展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて


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【展示会事業担当者】
事業共創部 トレードショー事業局 局長      長谷川 裕久 


【CO2ゼロMICE担当】
事業共創部 ソーシャルビジネス局 局長      井上 裕生


【聞き手】
コーポレートソリューション部 プロデュース局 石毛 照栄

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展示会主催者としての責任:サステナビリティ

石毛/会議・イベント開催においても「サステナビリティ=持続可能性」が推進されており、主催する企業・団体は、MICEサステナビリティを意識した企画・運営が求められるようになっています。展示会の主催者として、そして社会的責任ある企業として、JCDが「展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて」ウェビナーを開催した目的を教えてください。

長谷川/私は、入社以来30年にわたりイベント・展示会の企画・運営に携わっており、常に、出展者の課題や目標の達成に向けて一緒に取り組んできました。昨今、出展者となる企業様・団体様におけるSDGsの達成に向けた取り組みが加速しているのを実感し、「展示会主催者」として改めて、MICEサステナビリティの重要性を再認識しています。持続可能な展示会開催には、私たち主催者だけでなく、サプライヤーやビジネスパートナー、出展者において、それぞれがSDGsに取り組む必要があります。また、展示会業界全体でのMICEサステナビリティ/SDGsの取り組み推進強化のためにも、実体験を交えた好事例の共有は必須と考え、「展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて」ウェビナーを開催しました。

今回は、JCDとしてのSDGsの取り組みだけでなく、展示会運営のビジネスパートナーである、Sansan株式会社様、株式会社昭栄美術様にもご登壇いただき、それぞれ好事例をご紹介いただきました。

▼ダイジェストウェビナーレポート:「展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて」はこちら


石毛/
10月の配信には、多くのMICE関係者や、企業様・団体様が視聴され、好評でしたね。
主催者としての展示会サステナビリティについて、詳しく教えてください。

長谷川/展示会には、ブースやステージなど、多くの造作物が発生します。また、出展者は来場者向けのパンフレットなどのセールスツールを配布するため、大量の制作物も持ち込んでいます。このように、展示会は特に、造作物や制作物が大量にあり、そのために多くの資源を利用しては廃棄するという状況が問題になっていました。主催者として責任を感じており、持続可能な展示会開催を実現したいと、20217月、主催した「Super City / Smart City OSAKA 2021」では、環境負荷を軽減し、最新技術を活用したサステナブル&スマートな展示会とするためのサステナビリティ方針を掲げ、ビジネスパートナーであるSansan株式会社様と何度も打合せをし、一緒に企画を練り上げて開催に至りました。

レポート:「Super City / Smart City OSAKA 2021」:リアル×オンラインの連動型ハイブリッド展示会

SUPER CITY SMART CITY OSAKA

サステナブル展示会:具体的なSDGsの取り組み事例


石毛/サステナブル展示会の開催に向けて、ウェビナーにもご登壇いただいた、Sansan株式会社様の新世代パンフレットサービス「スマートパンフレット」を導入した背景と、その具体的なSDGsの取り組みについて教えてください。

長谷川/持続可能な展示会を開催するには、自社単独では実現できないことでも、サステナビリティ方針のもと、展示会の開催地、目的・意義に沿って、様々な知見や技術を持つビジネスパートナーと一緒だったら実現可能になることが多くあります。そのため、常にどのように実現できるかを考えています。具体的に、「スマートパンフレット」を導入したのは、「Super City / Smart City OSAKA 2021」という展示会です。この展示会は、以下のようなハイブリッド型展示会であり、かつ、7月の大阪は、新型コロナウィルス感染症に対して十分な対策を取り配慮する必要がある時期でもありました。

・オンライン展示会:2021年7月8日(木)、9日(金)
・ リアル展示会:2021年7月15日(木)、16日(金)

そのため、まず、コロナ禍にて開催するハイブリッド型展示会では、来場する方、出展する方、双方の安心・安全を最優先で担保する必要がありました。とはいえ、展示会の主目的は、新規顧客とのビジネスマッチングや、既存顧客とのエンゲージメント強化ですから、そのためのコミュニケーションの機会を提供しなくてはなりません。そこで、「非接触型コミュニケーションツール」として、QRコードを使ってパンフレットデータをダウンロードできる、「スマートパンフレット」を導入しました。これにより、接触する機会を減らすという当初の目的が達成しただけでなく、パンフレットをダウンロードした来場者のオンライン名刺情報が出展者サイドと共有できるので、今後のマーケティング活動に役立てることができ、利用者より好評でした。また、データによるパンフレット提供は、ペーパーレスですので、展示会後の出展した企業様・団体様のパンフレットの破棄・廃棄問題も、同時に解決することができました。

 

ペーパーレス対応

石毛/デジタルツールによる展示会運営のDX実現は、「新たなイベントのカタチ」であると同時に、SDGsの達成に向けても貢献できますね。
同じくウェビナーにご登壇いただいた、株式会社昭栄美術様は、ISO20121*を取得されています。サステナブル展示会開催に向けて、ブースやステージ造作など、施工を依頼した背景と、具体的なSDGsの取り組みについて教えてください。

*ISO20121:イベントサステナビリティマネジメントシステム:持続可能性に配慮したイベントを運営するためのマネジメントシステムの国際規格

長谷川/展示会の施工パートナーである株式会社昭栄美術様が2020年4月にISO20121を取得していること知っていました。来年2月に予定されている展示会では、JCDは企画運営会社として、総合プロデュースを担っており、もちろん、サステナブル展示会の実施ため、SDGsへの取り組みについても主催者へ提案をしています。出展小間数は約800と多いため、大量の廃棄物を出さないよう3R(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底し、省エネ効果の高いLED電気照明製品を自社で揃えており、またSDGsの達成に向けた具体的な数値目標をHPで公開し、従業員の生産性および安全性確保のためのマニュアル作成や日々の改善に努めている昭栄美術様が最適であると思い、施工をお願いしました。その素晴らしい取り組みを今回ウェビナーでもお話いただいております。

▼ダイジェストウェビナーレポート:「展示会のサステナビリティとエコシステム実現に向けて」はこちら

REDUCE REUSE RECYCLE

石毛/東京オリンピック・パラリンピック競技大会もISO20121を取得しています。施工会社として、初めて、同様の国際規格を取得された株式会社昭栄美術様の取り組みは、大変参考になる内容ですね。
ビジネスパートナーによる素晴らしいSDGsの取り組みをご紹介いただきましたが、ウェビナーでも紹介した、展示会主催者としてのJCDの具体的なSDGsの取り組みを教えて下さい。

CO2ゼロ展示会


長谷川/
先に述べたよう、主催者としてサステナブル展示会の実施に向けてサステナビリティ方針や、ビジネスパートナー選定による仕入れ・調達コードだけでなく、JCD独自の付加価値サービスである、「CO2ゼロMICE」(MICEを実施する際に、その会場で使用される電気を再生可能エネルギーに置き換えることで、CO2を実質0にできるソリューション)についても、今回、「Super City / Smart City OSAKA 2021」の主催者として、初めて導入しました。MICEの中でも特に大きな会場で実施することの多い展示会事業においては、その電気使用量が膨大になりますので、これらをグリーン電力に置き換えることは、サステナブル展示会実施のための第一歩であると考えました。

▼「CO2ゼロMICE」の仕組みはこちら

JCD CO2ゼロMICE展示会

 

井上/グリーン電力証書購入には費用が掛かりますが、「SDGs目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、」「SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献ができます。また、東京に拠点をおくJCDは東京都総量削減義務に貢献できますし、CO2削減に取り組む企業として企業ブランディングの価値向上にもなります。2050年のカーボンニュートラルに向けて、電力/エネルギー調達においても、環境に配慮するMICE運営は社会から求められており、今後ますます需要が高まると思います。

SDGs 7 and 13

▼MICEサステナビリティコラム:電力/エネルギー調達についてはこちら

▼「CO2ゼロMICE」を導入した会場施設との対談コラムはこちら

サステナブル展示会:出展企業における「CO2ゼロMICE」のメリットとは


石毛/「CO2ゼロMICE」は、従来は主催者、または会場に対してグリーン電力証書を発行していましたが、今回の展示会では出展者からの希望に沿うよう、柔軟に対応されたと伺いました。

井上/開催規模にもよりますが、通常、展示会開催においては、広大な面積が確保できる会場が求められています。そのため、会場で使用される電気使用量も膨大になり、グリーン電力証書購入費用も比例して高くなります。
展示会における「CO2ゼロMICE」は、主催者や会場側の方で一括購入いただく方法でも良いですが、昨今、出展者となる企業様・団体様においても、様々な需要があります。例えば、

・SDGsやISO14001への取組みによる企業評価を向上したい
・企業ブランド価値の向上により、CO2削減に取り組む企業として新たなファンを創出したい
・SDGsへの積極的な取り組みによるインナーブランディングを向上させたい
・ESG対策として利用することでファイナンス評価(TCFD)を向上したい
・株主総会や顧客向けイベントで利用することにより、顧客満足度・企業評価を向上させたい
・東京都総量削減義務、温対法などの削減義務に貢献したい

これらの要望にお応えするために、展示会出展者ごとに、「CO2ゼロMICE」を導入できるようにしました。

長谷川/2022年1月に実施する予定の展示会「nano tech 2022」をはじめとする同時開催13展では、実際4つのホールにおいて会場電気使用量3日間で約20,000kw/hを目指し、カーボンオフセットします。出展者側にも1-2コマブースにつき3日間数万円くらいでご案内をする予定です。

▼nano tech 2022の詳細はこちら

 

renewable energy

より良いサステナブル展示会開催に向けて

 

井上/環境エネルギーの立場から言えば、2050年のカーボンニュートラルに向けて、社会全体での取り組みが加速する中、我々JCDだけが取り組んでも大きな影響力はありません。したがって、展示会のお客様や事業パートナー様、また来場される皆様が一丸となって、MICEから発生するCO2削減のために、共に取り組まなくてはならないと思います。「CO2ゼロMICE」は、今はまだ第一段階です。これからさらに様々なソリューションをご提案していく予定です。

長谷川/サステナブル展示会を実現するには、展示会やイベントに関わる全ての人が連携・協業して取り組むことが必要不可欠です。今後も、展示会のプロフェッショナルとして、出展者の需要や、社会課題の解決に向けた企画提案、そして、展示会業界の強固な"持続可能なエコシステム"を構築してまいります。

石毛/JCDは会議やイベントの企画運営だけでなく、展示会事業においては「主催者」でもありますので、2050年のカーボンニュートラルな社会に向けて、企業としての社会的責任がより問われています。そのため、展示会という会場規模が膨大であるものの、その会場で使用される電気を再生可能エネルギーに置き換えることで、CO2を実質0にできる自社開発の「CO2ゼロMICE」を導入し、今後は、出展する企業ブースごとにも同様のサービスを提供できるよう、柔軟に対応をしています。

SDGsの達成に向けた取り組みを加速する出展する企業様・団体様のご要望にお応えできるよう、ビジネスパートナー様との連携により、それぞれが得意とするサービスを分業・協業し、多種多様なサービスを提供することで、MICE業界として共存共栄する盤石な体制を整えていきたいと思います。

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