SDGsイベントを成功させるために必要なものとは?

サスティナブルイベント事例 SDGs

【セミナーレポート】イベント企画運営を通じて、持続可能な社会の実現に貢献 サステナブルな企業イベントのプロデュースに向けて


イベントは非日常感の提供によって大きな効果を生むことができる施策です。しかしながら、SDGs視点を取り入れたイベント実施については苦労されている企業が多いのではないでしょうか。2022年3月16日から18日にかけて開催された「人と企業と地域をつなぐ コミュニケーションMIX」では、当社のモチベーションイベント局 エグゼクティブプロデューサーの國原尚史がサステナブルな企業イベントのプロデュースについて講演を行いました。企業イベントにSDGs視点を取り入れていくためには何が必要か、国内外の事例を交えながら解説した内容をレポートします。


資源の消費、CO2排出……従来イベントが抱える課題

イベントは、多くの人が参加することで直接的・間接的な経済効果を生み出す一方で、ステージやサインボードの造作、大量の食事提供などに伴う資源の消費、モノや人の移動によるCO2排出など、環境にマイナス影響を与えているとも言われます。

サスティナブルイベント 事例データ

上の図にある通り、イベントが及ぼす環境へのマイナス影響には、「廃棄量」「CO2排出量」「エネルギー/水使用量」の3つが挙げられます。さまざまな空間演出をほどこすイベント事業においては、再利用できないステージ、パネル、装飾物などは、イベント終了後、基本的に廃棄されてきました。料理や飲み物を提供する場合も、「足りないよりは」と余分に用意することが多く、余剰食材や残飯につながります。人やモノの移動・輸送によるCO2の排出量も大きな課題であり、また、電力や水を大量に使用するケースもあります。日本におけるビジネスイベント部門のカーボンフットプリント評価によると、イベント事業で発生するCO2排出量のうち、「輸送」によるものが半数以上を占め、次いで、「企画・準備」段階によるものとなっています。

企業イベントに限らず、従来のイベント事業には、“この瞬間でしか体験できない非日常感”を追求する傾向がありました。そのため、環境に対し、上記のようなさまざまな「マイナスの事象」を生じてきたことも確かです。しかし近年はこれらの課題をクリアするだけでなく、一過性の盛り上がりをより持続性の高いものへと発展させ、イベントの成果を最大化することも課題とされるようになってきました。
これらを踏まえ、今後のイベント運営におけるSDGsの重要性について、改めて掘り下げてみましょう。

これからのイベントに求められるSDGs目標の重要性

SDGsが世界共通の目標となっている今、企業は国内外を問わず、社会的責任ある立場として世界が直面する地球規模の社会課題の解決に取り組んでいく必要があります。このとき、「SDGsは企業にとっても多様なメリットをもたらす」という点も見逃せません。国際的なNGO団体が作成した「SDGsコンパス」によると、SDGsへの貢献は「将来のビジネスチャンス」「企業の持続可能性価値」「ステークホルダーとの関係の強化、新たな政策展開との同調」「社会と市場の安定化」「共通言語の使用と目的の共有」につながる、とされています。 サスティナブルイベント 企業重要性

また、ご存じの通り、日本は2050年までに温室効果ガス実質ゼロを目標に掲げています。近年さまざまな気候変動による被害も多発し、企業の気候変動への取り組みに対するファイナンス評価(TCFD)が加わったことから、企業の環境配慮への考え方は急速に変化しています。「RE100(省エネ100%)」「CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」など、環境配慮を目的とした活動も多く設定されており、これらに賛同する日本企業は年々増加しています。

そうした意識の変化を表すように、2018年下期からキーワード検索にて「SDGsイベント」という言葉が検索されるようになりました。以降、検索数は右肩上がりで伸び続けており、現在ご覧いただいているJCD MEETING&EVENTサービスサイトにおいても「SDGsイベント事例」といったキーワードが上昇。MICEサステナビリティに関するコラムはトップ10ランキングにほぼ含まれるほど需要が高まっています。日本の省庁、自治体、国際大会、国際業界団体らも「持続可能なイベント」の実現を目指す中で、各企業もミーティングやイベントにおけるSDGs目標を強く意識し、その重要性を認識しなければならない時代を迎えているのです。

世界のMICEサステナビリティ最前線

では、実際にイベントを企画・運営するうえでどのようなことを重視すべきなのでしょうか。ここからは具体的な考え方や事例を見ていきましょう。

世界的な視点では、MICEサステナビリティには、以下に示す4つの原則と8つのステップが重要とされています。8つのステップのうち「戦略の再定義」について補足すると、会議やイベントの企画は、社会への影響を考え、コミュニティの中で、コミュニティとともに運営していく必要があります。このため、コロナ禍においては「そもそもイベントを企画すべきなのか」「リアルイベントに参加者が集う価値があるのか、オンラインの方がよいのではないか」といった点についての検討も不可欠です。

サスティナブルイベント 会議イベント企画

この8つのステップに従って成功した海外のイベント事例は多くあります。例えばアメリカのソフトウエア会社では、「6:インパクト(影響)の報告」を「食」に対して実践。カンファレンス開催後には必ず環境負荷を計測し、報告書の作成では、廃棄物の重量を動物の重さに例えるなどの工夫も取り入れています。アイルランドのイベントでは「7:コミュニティに活力を与える」に従い、会場から3km圏内の居住者をスタッフとして積極的に採用しています。その割合は全スタッフの70%にもなるといい、コミュニティと連携してイベントを実施することで、地域の再活性化と移動距離短縮による環境負荷の軽減に貢献しています。バルセロナのイベントで取り組んだのは「8:食を通じた自然のリジェネレート」です。ケータリングは肉を排除し、ベジタリアンフードメニューを採用。食材の野菜は地域の生産者から調達し、参加者には健康的な食事が提供されました。さらに回収した残飯をたい肥化し、そのたい肥からまた野菜を育てて提供する、という循環型のフードチェーンの導入例としても注目されています。

国内のSDGsイベント事例紹介

こうした世界的な流れの中、日本国内のイベント会場でも独自の取り組みが行われています。横浜にある国内最大級の複合MICE施設では、
・屋根に集まる雨水を、自家発電機用冷却水やトイレ用の水に再利用する
・施設内で排出される産業廃棄物を焼却、その熱で発電し、近隣の施設の電力に再利用する
といった仕組みを構築しており、リサイクル率とごみの削減もトップクラスを実現しています。

他にも、イベントが開催されることが多いホテルでは、さまざまな国や宗教に対応できるよう、ハラール、ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなどのユニバーサル・フードを提供したり、微生物の働きによってコンポスト化が可能な生分解性ストローを導入したりといった試みが実施されています。

SDGsイベント成功のカギとは?

このような取り組みを成功させるためには、サステナビリティ方針や調達コード、運営方法などを、イベントの企画段階からしっかりと詰めていくことが重要です。会場、飲食、輸送、宿泊などのサプライヤー選定をサステナビリティ目線で行うことも欠かせません。イベントはパートナー企業とチームを組んでつくり上げるものであり、会場設営ひとつとっても、電力、映像、音響、照明、ステージ等の美術施工など協力企業は多岐にわたります。サステナブルなイベントを目指すにあたっては、SDGsの知見と運営実績を持つビジネスパートナーとの連携がカギを握るといえるでしょう。主催企業とパートナー企業がともにアイデアを出し合うことで新たな企画が生まれた事例も多く、それはSDGsやサステナブルの意識を互いに高め合うことにもつながります。

この続きは、セミナー全体をまとめたダウンロード資料でご覧いただけます。具体的な国内の成功事例を多数ご紹介していますので、ぜひお読みください。

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サスティナブルイベント事例資料

【資料の内容(一部抜粋)】

・カーボンオフセット、会場装飾、施工方法等に関する事例

・装飾品の廃材アップサイクル事例

SDGsの価値を体感できるワークショップ開催事例

・イベント現場でのゴミの削減、リサイクル事例

・料飲計画における取り組み事例

・サステナブルなイベント演出事例

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